ダイハツの主力モデル、軽トールワゴンの新型『ムーヴ』。軽自動車をファーストカーとして使う層が増えていることから、「スタビリティ(安定性)を重視した走りのセッティングを行っている」(商品開発本部・藤井敏彦氏)という。
直進性を高めるためには、ホイールベース(前後輪の間隔)を延ばすのが効果的。軽自動車は全長が3.4mまでと決められているため、ホイールベースの長さは厳しい制約を受けるが、新型ムーヴはエンジン、トランスミッションを小型化し、ボディ各部から無駄なスペースを極力排除する設計を行い、FF車の限界と言えるレベルまでホイールベースを延長している。
「旧型モデルより前輪を70mm前に、後輪を30mm後ろに配置することで、ホイールベースを100mm増の2490mmにまで拡大しています。スタビリティ、とくに直進性はかなりのレベルに仕上がっています」(藤井氏)
ロングホイールベースばかりでなく、サスペンションレイアウトもスタビリティ重視。フロントサスペンションのキングピン角(前方から見たサスペンション軸の傾き)、キャスタートレール角(横から見たサスペンション軸の傾き)を拡大。高速道路や空いた地方道をハイペースで走っていても、左右へのふらつきが少ない操縦性を確保しているという。
実際のドライビングフィールは試乗を待たなければならないが、セッティングについての基本的な考え方を聞く限り、ファミリーで遠出をするといったファーストカー的な使い方にも充分対応できる仕立てになっているようだ。