【伊東大厚のトラフィック計量学】後席シートベルトと法規制 その1

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【伊東大厚のトラフィック計量学】後席シートベルトと法規制 その1
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海外の法規制は?

欧米など海外では、シートベルトに関する法規制はどうなっているのだろうか。JAFによる海外実態調査※で詳しく調べられているので、少し引用してみる。

日本では、前席と助手席の場合、ドライバーに違反点数1点が課される。チャイルドシートも同様だ。これに対し、他のOECD諸国では、反則金をとるケースが多く、点数制度を併用する国もある。反則金は、5千円程度が多い。(図1)

ペナルティが違反点数だけなのは、OECD内では日本だけだ。裏を返せば、日本は、軽いペナルティでもシートベルト着用率を上げた法令遵守意識の高い国、とも言える。

英国では、同乗者が大人の場合、ドライバーでなく、同乗者本人に反則金が課される。シートベルトの非着用は、一人ひとりの遵守意識の問題であり、同乗者に危害を加える可能性があるため、こうした考え方も理解できる。

ペナルティの導入と着用率

何らかのペナルティを課さないと、着用率はなかなか上がらない。これは日本に限ったことではなく、世界共通だ。図2は、英国など、ペナルティ導入前後の後席シートベルト着用率の推移を示したものだ。いずれの国でも、ペナルティが導入されると、10%程度だった着用率は30〜50%に急上昇する。

日本でも、2000年にチャイルドシート未使用に対しペナルティを導入した際、使用率は15%から40%に上昇している。7〜8%に留まっている日本の後席シートベルト着用率を上げるには、ペナルティの導入を検討する時期にきていると思う。

全乗員の保護

この言葉は、JAFの調査のまとめである。今後、シートベルトによる安全対策は、乗員の年齢や着座位置の区別なく、全席で着用の常態化を目指すべき、という意味だ。筆者も、この考え方に賛成だ。

シートベルトは、多くの国で議論の末、前席・後席の順に法規制が導入されてきた。しかし現在では、シートベルトやチャイルドシートの事故被害軽減効果に異論を唱える人はいないだろう。

※(社)日本自動車連盟(JAF)「後席シートベルト着用に関する海外実態調査」 2006.7
http://www.jaf.or.jp/safety/data/image/2006back_belt.pdf

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《伊東大厚》

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