裁判所が危険運転罪の適用を否定、業務上過失で量刑判断

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2006年2月、愛知県春日井市内の国道でクルマを飲酒運転し、さらには赤信号無視で交差点に進入してタクシーと衝突。4人を死傷させたとして危険運転致死傷罪に問われた27歳の男に対する判決公判が11日、名古屋地裁で開かれた。裁判所は赤信号の殊更無視を否定し、業務上過失致死傷罪を適用した実刑判決を言い渡した。

問題の事故は2006年2月25日未明に発生した。春日井市味美白山町付近の国道302号で、信号無視をして交差点に進入してきた乗用車と、青信号を遵守して交差道路を進行していたタクシーが出会い頭に衝突。乗用車の速度が高かったこともあり、タクシーは弾き飛ばされて大破し、乗客の航空自衛官4人のうち3人と、運転していた男性が死亡。残る自衛官1人も軽傷を負った。

警察では乗用車を運転していた男を業務上過失致死傷と道路交通法違反(酒気帯び運転、信号無視)の容疑で逮捕したが、検察は「飲酒運転を行った上で赤信号を殊更に無視し、多数の命を奪った」として危険運転致死傷罪で起訴。これに対して被告側は「赤信号を青信号と見間違えた過失であり、故意に無視したわけではない」と主張。公判は結審したものの、その後に裁判所から「危険運転致死傷罪の立証が不十分」として、検察側に追加立証の要求がなされるなど、異例の展開をみせていた。

11日に行われた判決公判で、名古屋地裁の伊藤納裁判長は「被告は危険回避行動を取った形跡が無く、殊更に赤信号を無視したとは認められない」、「被告が信号を青と思い込んでいたという供述を覆す立証もない」と、信号を故意に無視したことは否定した。

故意による信号無視(赤信号の殊更無視)が検察側の主張する危険運転罪の構成要素だったこともあり、裁判長は「危険運転罪ではなく、被告側が主張する業務上過失致死傷罪の適用が相当」と判断。被告に対して懲役6年の実刑を命じている。

《石田真一》

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