2 | イタリア美人発見の3法則 |
イタリアも日本と同様、5人に1人が高齢者となる時代に突入している。さらに共働き社会が定着し、女性が料理に時間を割かなくなっているばかりか、若い女性などは調理することそのものに関心がなくなっている。「イタリアのマンマの味」なんていうのは、日本における自家用車のフェンダーミラーやカーオーディオのカセットプレイヤーくらい絶滅寸前にあるのだ。
そのような現状にあって、明らかに長年続いている食品美人イメキャラたちは、見る者を幻想の世界にいざなう。
イタリアでは食品美人画を捜索していると、いくつかの法則があることに気づく。まず第1に「トマト系に美人多し」ということだ。それも国際的ブランドよりも、地域限定・マイナーものほど艶やかさが増す。
たとえば、「標本A」の右側は日本でも知られたブイトーニ社のトマトピューレだ。これでも本人が目の前にいたら充分色っぽい。しかし「標本B」の、イタリアの、それも一部商店でしか売られていないホールトマト缶のほうが、数倍なまめかしい。
第2の法則は、アルコール系にも多し、ということである。こちらも超有名ブランドには皆無といって良い。イタリアで最も有名なビールのひとつ『モレッティ』に至っては、オヤジの絵である。
スーパーマーケットに突発的に入荷する地方ものや、個人の酒店に置いているもののほうが、お楽しみ指数は高い。「標本C」の女性のどこか素人っぽいお色気はどうだ。「もしや社長の娘か?」などと想像してしまう。
最後の法則は、イタリア南部産品に美人画多し、ということだ。中小企業であまりパッケージやラベルの変更にお金をかけられないという切実な理由もあるのだろうが、逆に「アナタ、いつからやってるの?」と言いたくなる往年の美女が現状保存されているのだ。