居眠り運転は睡眠時無呼吸症候群でなく、過労

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2005年11月、滋賀県彦根市内の名神高速道路で、10人を死傷させる多重衝突事故を起こしたとして、業務上過失致死傷罪に問われた41歳の男に対する判決公判が26日、大津地裁で開かれた。裁判所は実刑を命じている。

問題の事故は2005年11月13日早朝に発生している。彦根市小野町付近の名神高速道路下り線で、後輪のパンクが原因で低速走行していたワゴン車に対し、後続の大型トラックが追突してワゴン車が横転。

衝突を避けようとワゴン車の手前で停車した車両6台に対し、後ろから走ってきた被告の運転する大型トラックが減速しないまま突っ込み、これらのクルマを押し出すようにして約30mを走り抜けた。

横転していたワゴン車はこれによって大破。周囲にいた7人が死亡、他のクルマの3人も重軽傷を負った。

事故の原因は居眠り運転とみられているが、公判で被告は「前方を注意していたつもりだったが、当たってから気が付いた」と主張。被告弁護側も「被告は以前、重度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されたことがあり、事故の直前に本人の自覚がないまま眠ってしまったと考えられる。単なる漫然運転ではない」として無罪を主張していた。

これに対して検察側は「SASによる突発的睡眠ではなく、過労運転が原因の居眠りだ」と反論していた。

26日に行われた判決公判で、大津地裁の久禮博一裁判官は「被告は事故の6日前から連続した勤務に就いており、この間は車内で短時間の仮眠を取る程度であり、十分な睡眠が行えなかったものと考えられる」と指摘。「被告にSASの症状はあったと推認できるが、事故は極度の過労状態で運転を続けたことが原因」と断定した。

その上で「過労状態は勤務先の指示に従った結果であり、被告個人より会社の責任によるところが大きい」とも指摘したが、「被告は過労状態を認識しており、その状態ならば不意に睡眠状態に陥る危険は十分に予測可能だった」と判断。被告に運転注意義務違反の過失が生じていたとして、禁固3年の実刑を命じる判決を言い渡した。

《石田真一》

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