広島県尾道市内の桟橋で、フェリーに乗船しようとしていたクルマが海に転落して1人が死亡した事故について、海上保安庁と広島県警は18日、フェリーの操作を乗員が誤ったことが事故の原因になったとして、船の機関長と車両誘導員の2人を業務上過失致死容疑で逮捕した。
海上保安庁・尾道海上保安部と、広島県警・尾道署によると、事故は15日朝に発生した。尾道市土堂1丁目付近のフェリー乗り場で、対岸の島に向かうフェリー(排水量125トン)に乗船しようとしていた軽乗用車が桟橋を進行していたところ、船が突然動き出して桟橋から離れた。
クルマは前輪が船体に掛かる手前の状態だったが、船が動いたことによって生じた隙間から海に転落。運転していた60歳の男性は自力で車外に脱出したが、同乗していた35歳の男性は収容先の病院で死亡した。
海上保安部と警察では船が動いた理由を調べていたが、その後の調べで機関長が誤った操作を行っていた可能性が高くなった。
通常、接岸中は後進用のスクリューを作動させ、船を岸壁に向かって押しつけるような状態にしている。これによって岸壁から船が離れないようにしているわけだが、当時は何らかのミスで後進用よりも大きな出力を持つ前進用のスクリューも作動させてしまったとみられる。これによって船が突然前に動き出して桟橋から離れ、乗り込み中のクルマが転落したようだ。