【マップオンデマンド開発者インタビュー】後編…地図の差分配信を実現した要因

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【マップオンデマンド開発者インタビュー】後編…地図の差分配信を実現した要因
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トヨタ自動車はカーナビゲーション用地図の差分配信技術「マップオンデマンド」を発表した。地図差分更新技術のポイントについて、同社の開発担当者に話を聞いた。マップオンデマンドの地図差分更新が可能となったのは、「通信・ハード・ソフトという3つの条件が揃ったから」だと開発者は語る。  

トヨタ自動車 車両技術本部 第1電子技術部第13電子室
室長 浅岡泰造氏
主幹 杉本浩伸氏(以下敬称略)

——G-BOOKの新サービスとしてのリリースよりも技術発表を先におこなった意図は。

浅岡 新しい地図を使いたいと考えているお客様のニーズがあったので、技術としていち早く発表したかった。

杉本 相当前からいろんなトライをしていた。ただ、環境的・ビジネス的にクリアすべき課題が多く、難しい作業だった。やっと発表にたどり着いたという思いだ。

——マップオンデマンドの実用化にたどり着けた要因は。

浅岡 第1は、携帯電話の料金と速度が改善されて、高速かつリーズナブルな価格でデータが送れるようになったことだろう。

杉本 次に、HDDナビが普及したことも挙げられる。そして、差分更新のソフトウェアが十分実用的なレベルに達したことが決め手になった。通信・ハード・ソフトという3つの条件がそろってはじめて実現したのだと思う。

——カーナビの地図更新ディスクを買うためにディーラに行く行為が間接的に自動車販売に結びついているという話を耳にしたことがある。通信による地図更新はユーザーとディーラーとの接点を失ってしまうかもしれない。

浅岡 それはどうかと思う。ユーザーの立場になって考えると、地図ディスクを買うためだけにディーラーに足を運ぶのは面倒だ。

杉本 内部の調査データでは、カーナビの地図は自宅で更新する、あるいは自動での更新を選ぶ回答が圧倒的に多かった。どこかに行って更新したいという人は少ない。

浅岡 何もしなくてもナビの地図は常に最新、ということが一番の理想だ。

——マップオンデマンドのサービス対象ナビゲーションは。従来モデルもサポートするのか。

浅岡 差分更新の対象になるのは、今春登場するG-BOOKアルファ対応のHDDモデルから。ディーラーオプションのHDDナビにもマップオンデマンドの技術は入れていく。しかし、これまで販売したナビゲーションシステムには対応しない。ディーラーオプションナビならばナビシステムそのものを新型に入れ替えれば旧型車でも利用できる車種もある。

——差分地図の標準化を進めているiフォーマット・フォーラムが一昨年から「2006年度中の仕様公開を目指す」とアナウンスしているが、今回の技術発表にあたって同団体を意識したということは。

浅岡 他団体の状況については把握していないので、全く意識はしていない。

——では最後に。これからのナビのあるべき姿は。

浅岡 交通情報の充実が挙げられると思う。空間的なルートについてはナビは教えてくれるが、時間的な予測はまだまだ。到着予想時間の精度をもっと上げられるように研究開発を進めたい。

杉本 使いやすいインターフェース。普通に使いやすいシステムがあれば、純正のナビを選んでくれる人はもっと増えるはず。

——ありがとうございました。

《北島友和》

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