【ストラーダ HDS910 長期リポート】対談 リポートを終えて/前編

自動車 テクノロジー カーナビ/カーオーディオ新製品
【ストラーダ HDS910 長期リポート】対談 リポートを終えて/前編
【ストラーダ HDS910 長期リポート】対談 リポートを終えて/前編 全 5 枚 拡大写真

昨年、地上デジタル放送チューナーを標準搭載したハイエンドカーナビとして人気を博したストラーダFクラス『HDS910』。“地デジ”をハードディスク、音楽リッピングに次ぐ新たなトレンドにしたという意味でも、その役割は大きかった。

あれから一年。長期リポートを終えて、『HDS910』の総括と今後への意気込みについて、松下電器産業、市販マーケティンググループグローバル販売助成チームリーダーの川原正明氏に、長期リポートを担当した神尾寿が話を聞いた。

◆地デジで先行した2006年

−− 昨年、ストラーダFクラスを長期リポートしたわけですが、そこで感じたのが地デジのインパクトです。車内でクリアな映像が楽しめるというのが、これほど訴求力があるとは思いませんでした。ストラーダで地デジを標準的に搭載するというのは、早期の段階から商品企画の中に盛り込んでいたのでしょうか。

川原 ストラーダという商品群には、家で使っているマルチメディア機能をすべてクルマの中でも楽しめるようにする、というコンセプトが当初からあります。初期のストラーダはSDメモリーを使ったAV機能や、DVD映像の視聴といったところで商品企画を進めてきた。昨年は地デジという大きなメディアの変革がありましたから、それにいち早く標準対応したわけです。

−−カーナビと音楽というのはストレートに結びつきますけれど、地デジも相性がいい組み合わせですよね。

川原 そうですね。クルマの場合は「安定受信」が大きなポイントになります。家庭での地デジ普及も進みますし、カーナビでの地デジ需要もきっと高くなる。そこで当社では3年がかりで地デジ向けの映像技術開発に力を入れて、昨年のストラーダで標準的な対応にしました。

−−それにしても「Fクラス」から始めた「地デジチューナー標準搭載」は思い切りましたね。別売りチューナーを安くしていくという選択肢もアリだったと思うのですが。

川原 こういう言い方が適切かわかりませんが、他社のようなAVやカーナビなどの専業メーカーではないことが、その選択の背景にあると思います。我々は全方位のメーカーですし、松下電器の商品群は「買ってきてすぐに使える」ことがお客様に求められています。我々のプロダクトも、そういったオールインワンのコンセプトで商品企画されるわけです。

−−なるほど。しかし、テレビはもともと『オールインワン』の傾向が強いものでしたから、ストラーダのアプローチは結果として正しかったですね。地デジ=松下というブランディングにも成功したのではないでしょうか。

川原 そうですね。幸いにもカーナビでの地デジ標準搭載で先行できましたので、ストラーダブランドへの追い風になりました。むろん、そこには地デジがただ見られるだけでなく、地デジ視聴に特化して画質向上技術を導入したり、液晶を作り込んだりといったトータルでの技術力もあってのことだと思います。特に画質については他社に比べても高評価をいただいています。

−−あともうひとつ昨年の松下製カーナビで驚いたのが、Fクラスだけでなく、スタンダードモデルのストラーダにも地デジチューナー標準搭載のモデルを用意したことです。昨年はハイエンドモデルのFクラスだけで、スタンダードモデルでの標準対応は今年からだと思っていました(笑)。

川原 ハイエンドモデルだけですとお客様の層も限られますし、ボリュームゾーンの価格帯のお客様だからこそオールインワンが求められる、ということもあります。その辺は意識して、昨年は戦略的に地デジを広げてきました。結果として、地デジ付きのモデルが一番売れる、という結果になりました。

◆操作系はわかりやすい、使いやすい

−−地デジといえば、実際にリポートしていて感じたのが地デジ関連の操作性のよさです。家電的といいますか、非常にわかりやすかった。

川原 以前からストラーダは「使いやすさ」にこだわっていまして、リモコンやメニューの使い勝手には気を遣っています。どちらかというと、「かっこよさ」よりも「使いやすさ」を優先しているんです(笑)。

地デジ関係の操作系はこのポリシーに準じていまして、単に「地デジ機能」を後付けしたものにしたくなかった。UIの統一感や使いやすさは重視しています。例えば昨年のストラーダFクラス投入では、05年に新しくしたリモコンを1年で新しくして、地デジ対応の新型リモコンを導入しました。普通ならば1年でリモコンをデザインし直すなんてありえません。

−−コストよりも使いやすさを優先したわけですね。画面作りもテレビライクでわかりやすかった。

川原 そこは地デジ対応テレビと同じ使い勝手にしたかった部分です。家で使った印象でそのまま操作してもらえば、クルマでも迷わず地デジが楽しめるようにしたかったんです。

−−あと地デジに限らず、ストラーダはタッチパネルのメニュー作りがうまいという印象を受けました。正直に白状すると私はクルマ用のタッチパネルは今ひとつ好きではなくて、どちらかというとリモコンやジョイスティック型の物理的な入力デバイスの方が好きだったのですが、ストラーダの「ツートップメニュー」をはじめとするタッチパネルUIには好印象を持ったまま長期リポートをすることができました。

川原 「わかりやすさ」と同時に、タッチパネルでボタンに触りやすいという部分も重視しています。デザイン的には、かっこよさを優先するとボタンを小さくしたり、アイコンを工夫したりといったことをするんですけれど、ストラーダの場合は「使いやすさ優先」で徹底しています。

−−デザイン性も悪いとは感じませんでしたよ。確かに初期メニューのボタンはかなり大きいのですが、シンプルなアイコンをはっきり表示しているので、全体的なトーンがすっきりした印象です。小さいアニメーションアイコンをごちゃごちゃ置くより、潔くて、むしろデザイン的に優れている。

川原 その点については液晶画面の性能のよさもデザイン上、有利に働いていると思います。ワイドVGAで高精細ですから、フォント表示の部分なども含めて上質な表示にすることができましたから。

−−ツートップメニューに代表とされる「シンプルで使いやすいUI」はストラーダのもうひとつの特徴になっているわけですが、これは今後も続くのでしょうか。

川原 そうですね。ナビとAV機能を一画面で見せる手法は、ストラーダのコンセプトを表す部分にもなっているので今後も踏襲されていくと思います。むろん、細かな部分では洗練していきます。

《神尾寿》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. BEVを2年間所有した、“リアルな”ランニングコストを大公開
  2. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  3. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  4. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
  5. メルセデスベンツの万能車『ウニモグ』がキャンピングカーに! 数日間の自給自足が可能
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
ランキングをもっと見る