ジーエス・ユアサコーポレーション、三菱自動車、三菱商事の3社は、電気自動車(EV)に使用可能で大容量で高性能なリチウムイオン電池を製造する合弁会社設立に向けて具体的な協議を開始したと発表した。今後、半年以内をめどに細部を詰め、新会社の設立を目指す。
リチウムイオン電池を生産する新会社の資本金は30億円程度を予定しており、出資比率はGSユアサが51%、三菱商事が34%、三菱自動車が15%の予定。本社はGSユアサの京都本社内に置き、第1段階として30億円規模の投資を行い、GSユアサの京都本社工場内に年産20万個のリチウムイオン電池の量産ラインを新設し、2009年までの稼動開始を計画している。
大型リチウムイオン電池は、自動車を含むさまざまな分野での量的拡大が確実視されており、この市場ニーズにいち早く応えるための体制構築が重要となっている。大型リチウムイオン電池の高い技術を保有しその用途拡大を目指すGSユアサ、電池事業への参入に加えその周辺事業の創出を目指す三菱商事、究極のクリーンカーであるEVの普及を目指す三菱自動車の3社が力を結集することで、シナジー効果を追求する。
新会社が製造する電池は、GSユアサが現在日本で唯一量産している大型リチウムイオン電池『LIMシリーズ』をベースに、構造や電極材料などを見直してエネルギー密度や出力密度を向上したもの。この電池は、ハイブリッド車用電池の10倍程度の大容量を持ち、EVに最適だ。
三菱自が2010年までに市場投入を目指している次世代電気自動車『i MiEV(アイ・ミーブ)』への供給を予定しており、他の自動車メーカーのEV向けや電力貯蔵目的などの産業用途にも供給可能だ。
また、この電池はエネルギーの出し入れが速く、電力会社で検討されている急速充電仕様にも対応すると同時に、プラグイン−ハイブリッド車(P-HEV)の要求にも対応できる可能性がある。新会社は大型リチウムイオン電池のデファクトスタンダード獲得を目指し、今後の市場拡大に応じて生産能力の増強や機種の充実を図る方針だ。
自動車用次世代エネルギーとして注目されているリチウムイオン電池では、日産自動車とNECが、次世代リチウムイオン電池を開発・製造する合弁会社を4月に設立している。