【神尾寿のアンプラグド】モバイルテレビの“黒船”、6月8日上陸

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【神尾寿のアンプラグド】モバイルテレビの“黒船”、6月8日上陸
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5月10日、QUALCOMM Incorporated(本社:米国カリフォルニア州、CEO:ポール・E. ジェイコブス)が、日本で初となる「MediaFLO Conference 2007」を開催すると発表した。開催日は6月8日、ホテルオークラ東京で開催される。カンファレンスは登録制で、参加費は無料だ(URL http://www.mediaflo2007.com/)。

MediaFLOは、携帯電話やクルマなどモバイル環境向きのマルチメディア放送・配信技術の総称だ。高速移動時でもノイズや中断の少ない高品位のテレビ放送サービスを柱に、音楽放送・配信、IPデータ放送、さらに蓄積型放送のクリップキャスティングなど、次世代のモバイル放送・配信に必要とされる機能がすべて用意されている。日本で携帯電話などモバイル向け放送といえば、地上デジタルテレビの「ワンセグ(ISDB-T方式)」が一般的だが、MediaFLOはそれよりもはるかに高性能・多機能だ。

MediaFLOを使った商用サービスは、すでにアメリカでは始まっている。今年3月、北米の携帯電話キャリア携帯電話会社Verizon Wirelessが、一部の州で「V CAST Mobile TV」をスタートさせた。同サービスはスカパー!のような有料テレビ契約で提供されており、価格は5チャンネルを視聴できる基本コースで月額13ドル、全8チャンネルを視聴できる拡張コースで月額15ドルだ。

MediaFLOは専用の周波数帯を使う“放送・配信サービス”のため、映像や音楽、IPデータ受信では携帯電話のパケット通信料はかからない。MediaFLOコンテンツに付随する追加情報の取得や、契約の追加申し込みといった時だけ、携帯電話のパケット通信を使う仕組みだ。

北米放送業界のMediaFLOへの期待は大きく、CBS、ESPN、Fox、MTV、NBC NewsおよびNBC Entertainmentなど名だたるチャンネルがMediaFLOに参加している。

◆日本進出に積極的なクアルコム・ジャパン

クアルコムはMediaFLOのグローバル展開を積極的に考えており、日本市場への「上陸」にもかねてから積極的だった。同社は、日本で2011年に実施される大規模な周波数再編にあわせて、MediaFLOサービス向けに700MHz帯が割り当てられることを望んでいる。今回、日本でMediaFLOカンファレンスを開催するのも、日本市場に同技術をPRし、放送業界・通信業界、さらにメーカーの支持を得るのが狙いだ。

今回のMediaFLOカンファレンスでは、MediaFLOの世界展開について、クアルコムMediaFLOテクノロジ部門ビジネスディベロプメント バイスプレジデントのオマール・ジャバイド(Omar Javaid)が講演。さらにクアルコムMediaFLOテクノロジ部門プロダクトマネージメント スタッフ・プロダクト・マネージャのジム・コイヤー(Jim Coyer)が今後のMediaFLOプロダクトを、世界の78社以上の団体が参加するFLOフォーラム プレジデントのカミール・グラジスキ(Kamil Grajski)が標準化の進捗状況について話す予定だ。これらにより、MediaFLOの世界的な動向について、掴むことができるだろう。

さらに日本でのMediaFLOの動向や取り組みについては、KDDIの子会社であるメディアフロージャパン企画の増田和彦代表取締役社長、ソフトバンクの子会社であるモバイルメディア企画の矢吹雅彦代表取締役社長が講演を行うという。

NTTドコモはフジテレビジョンとともにISDB-T(ワンセグ)の拡張方式を次世代モバイルテレビサービスの軸に据えているが、KDDIとソフトバンクは現時点でMediaFLOによるサービスを検討している。今後の携帯電話キャリアの動向を見る上でも、KDDI子会社のメディアフロージャパン企画と、ソフトバンク子会社のモバイルメディア企画による講演は注目だろう。

MediaFLOの取り組みは、端末市場が大きく、進化のペースが速い携帯電話から始まっている。しかし、ワンセグよりもさらに「移動体向け」で作られた技術であることから、クルマ向けの放送・配信インフラとしても注目である。実際、サンディエゴで毎年開催される「MediaFLO Day」では、クルマ向けの実験や取り組みについての紹介も多くされている。

カーマルチメディアやテレマティクス、さらにクルマ向けのIPデータ配信インフラを考える上でも、今回のMediaFLOカンファレンスは注目である。自動車業界関係者も、足を運んで損はないだろう。

《神尾寿》

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