交通事故自動記録装置の信用性を認める 実刑判決

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2005年12月、京都府城陽市内の府道で大型ダンプトラックを運転中、交差点に信号無視の状態で進入して横断中の歩行者と衝突、死亡させたとして危険運転致死などの罪に問われていた69歳の男に対する判決公判が12日、京都地裁で開かれた。裁判所は懲役5年の実刑を命じた。

問題の事故は2005年12月12日午前に発生している。城陽市内の府道交差点を66歳の男性が青信号に従って横断しようとしていたところ、赤信号を無視して進入してきた大型ダンプトラックと衝突。男性は全身を強打して死亡している。

現場の交差点は事故多発地点のひとつで、警察庁が2000年度から導入を開始している「タームス(TAAMS=Traffic Accident Auto Memory System)」と呼ばれる交通事故自動記録装置が導入されていた。これは交差点の映像を常時撮影。衝突や急ブレーキなどの音を感知した場合、その前後4秒間を抽出して記録するようになっている。

今回の事故ではこのタームスが記録した60枚の画像から、トラックが信号無視の状態で進入し、制限速度を超過する56km/hで衝突したと判断。検察はこれを根拠として危険運転致死罪で起訴したが、公判で弁護側は「意図をもって速度結果を操作することが可能であり、装置の信用性は乏しい。検察は速度超過に適した画像を抽出した」と主張。事故当時の速度は35-40km/h程度であり、速度超過を起こしていないとして、業務上過失致死の適用を求めていた。

12日に行われた判決公判で、京都地裁の氷室眞裁判長は「タームスの撮影画像から判断するに、衝突時の速度は54km/hだった」と認定。タームスの信用性についても「一定の間隔で画像を記録しており、特に不自然な点は感じられない」として、作為があったとする被告側の主張を退けた。

その上で裁判長は「当時の速度では重大な事故に発展する衝突を回避するのは困難」と指摘。「制限速度を14km/h超過しており、悪質性は明らか。身勝手な運転で被害者が死亡したことは極めて重大で不条理」として危険運転罪の適用を認め、被告に対して懲役5年の実刑判決を言い渡した。

《石田真一》

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