【伊東大厚のトラフィック計量学】クルマの性能以外の燃費向上策は?…CO2半減へのシナリオその3

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【伊東大厚のトラフィック計量学】クルマの性能以外の燃費向上策は?…CO2半減へのシナリオその3
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日本全体のCO2排出量の増加傾向が続く中、運輸部門のCO2排出量は減少傾向にある。前回、マイカーのCO2が減少したのは、主に走行距離の減少と燃費のよいクルマが普及したためであることを分析した。今回は、クルマの燃費性能のほかにも燃費を向上させる対策があることを紹介したい。

◆実走行燃費を決める三要因

クルマの実走行燃費は、燃費性能(クルマ要因)、渋滞など走行環境(インフラ要因)、自動車の運転の仕方や使い方(ヒト要因)が三大要因だ(図1)。

燃費の良いクルマに買い換えても、渋滞したりドライバーが急加速ばかりしていると、実走行燃費はあまり良くならない。クルマ・インフラ・ヒトの三要因すべてが、燃費を良くする方向に進まなければ、CO2は減らない。

◆都市の渋滞は改善されているか

都市につきものの渋滞は、実走行燃費やCO2にどのくらい影響するのだろう。図2は、混雑時旅行速度を渋滞の指標とし、東京を100として主な都市の走行1kmあたりのCO2排出量を示したものだ。

東京23区は混雑時旅行速度が16.4km/hと最も低い。東京23区に較べ比較的速度の高い福岡市や札幌市では、それぞれ10%、18%CO2が少なく(燃費が良く)なる。ラフな計算ながら、仮に東京の混雑時旅行速度が25km/h程度(ほぼ札幌市並み)になったとすると、総走行距離が増えなければ、マイカーのCO2は20%減る計算になる。

タラレバの話はさておき、実際の効果を見てみよう。最近は各地で環状道路が開通し、CO2削減効果も公表されるようになった。いくつか紹介すると、東京圏では、以前当コラムでも紹介した首都高速王子線の開通で2万−3万トン、環状8号線の全通で3万トン、中京圏では愛知博とともに開通した東海環状道路で約2万トンといった効果が出ている。こうした数値から、渋滞対策のCO2削減効果は全国で数十万トンになるだろう。

◆マイカーのエコドライブ

運転の仕方やクルマの使い方も重要な要因だ。マイカーのエコドライブは、穏やかにアクセルを踏むことなどをレッスンすると10%以上燃費がアップした、との報告例もある。マイカーは台数も多くCO2削減ポテンシャルは高いのだが、なかなか普及・定着しきれていないのが現状だ。

近年、燃費計を備えたクルマが増え、また燃費表示に加え同型車間での比較もできるテレマティクスサービスを提供する自動車メーカーもある。マイカーのエコドライブは、効果が実感でき面白味があることが大事だ。ヘルスメーターに乗ることから健康管理が始まるように、エコドライブもモノサシをもつことが“CO2ダイエット”につながる。

《伊東大厚》

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