【解説】株式市場、自動車株にサブプライムローンの重し

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米国発バブル崩壊が呼ぶ負の連鎖

日本列島を猛暑が襲った8月17日、東京株式市場は冷や水を浴びせかけられた。平均株価が900円近く急落し、ネットバブル崩壊に伴う2000年春以来の大幅な下げを記録したのだ。

株価下落と円相場の急伸が負の連鎖となって、文字通り売りが売りを呼ぶ展開。この日の夜、世界的な株安の発信源となった米国市場が反発。FRB(米連邦準備制度理事会)による公定歩合引き下げを好感してダウ工業株30種平均が急反発したことで、ひとまず市場関係者は胸をなでおろした。

しかし、株式市場と外国為替市場はその後も神経質な展開を余儀なくされている。世界的な株安、ドル安は米国の低所得者向け高金利型住宅ローン「サブプライムローン」問題が震源となっており、その影響はいまだ不透明な部分が小さくないからだ。

ある大手証券は、「サブプライムローン問題の全容がはっきりしないことが投資家の不安を誘い、パニック売りを誘発する悪循環を生んでいる」と警戒姿勢を緩めない。

ここ数年の米国景気は住宅ブームがけん引してきたが、逆にそのブームの反動が米景気全体の足を引っ張りかねない状況にある。地価の下落や金利上昇のあおりを受け、サブプライムローンの焦げ付きが急増し、ローン会社の破たんをきっかけに米国株式が急落するなど、金融市場は極めて神経質になっているのである。

サブプライムローンの「サブプライム」とは、最良(プライム=prime)の下(サブ=sub)という意味。低所得層や、過去に破産し、あるいは担保を差し押さえられたことのある、銀行などの条件のいい住宅ローンは断られてしまう信用度の低い個人が主な対象。融資の審査基準が甘い代わりに、返済金利が高い点を特徴とする。

サブプライムローンは住宅投資ブームに乗ってここ数年で急膨張。住宅ローン全体に占めるシェアは、2000年の2.8%が現在は13.6%に達し、融資残高は約1兆3000億ドルに上っている。

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《山口邦夫》

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