「そこはあまり突っ込んで欲しくなかった……」と思わず苦笑いしたのは、三菱『ランサーエボリューションX』開発スタッフの一樂浩(いちらくひろし)さん(商品開発統括部門C-seg商品開発プロジェクト)。話題が、リヤビューカメラに及んだ際だ。
エボXには、ランエボとしてはじめてカーナビがメーカーオプション設定されている。しかし、そのナビにはセダンでも常識となりつつあるリヤビューカメラがセットされていない。
といっても別に最初から設定がないのなら気になることではないのだが、エボXのベース車である『ギャランフォルティス』にはしっかり用意されている。なのにエボXには未採用だから、思わず突っ込みを入れてしまったのだ。
「エボXでは、重量バランスを整えるためにバッテリーを後部(トランク内)においていますよね。原因はそれなんです」(一樂さん)
最近のクルマは極限まで隙間を詰めて無駄なスペースを排除した設計をするので、バッテリーをトランクに搭載すると配線用のスペースの中でバッテリー線の存在が大きくなり、カメラの映像信号を送る線を通すスペースの確保が難しくなってしまうのだという。また、大電流を流すバッテリー線の近くに映像の配線を通すと、モニターで見たときに多くのノイズが混入してしまうというのだ。
「はっきりいって、我々の認識が甘かったと考えています。当初は『ランエボにリヤモニターなんていらない』と考えていました。でも、ミニバンやワゴンから乗り換える人、そして家族用としてランエボを購入し運転に不慣れな奥様が運転するときのことを考えると、はやりあったほうがいいですね」
最後に一樂さんの口から出た言葉は、「今後は、考えないといけないですね」。もしかしたら、エボXIでは……?