異例となる3回の不起訴不当となった事件、検察は動かず

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2002年12月に岡山県岡山市内で発生した死亡交通事故について、岡山地検は20日、業務上過失致死で検察審査会が不起訴不当を議決した23歳の容疑者(事件当時18歳)について、嫌疑不十分を理由として4回目の不起訴処分を決めた。

この事件は3回の不起訴不当が議決される異例の展開を見せたが、検察は新規捜査を行わず、従来の資料で不起訴を決めたとみられる。

問題の事故は2002年12月21日の午後10時45分ごろ発生した。岡山市横井上付近の市道を自転車で走行していた19歳女性に対し、後ろから走ってきた軽乗用車が衝突。女性は頭部などを強打したことが原因で死亡した。

クルマを運転していたのは18歳(当時)の女子高校生。友人と岡山市内で酒を飲んだ後、現場近くのカラオケ店に向かう途中に事故を起こしたとみられ、事故後に行われたアルコール検知では呼気1リットルあたり0.3ミリグラムのアルコール分を検出している。結果として飲酒運転については罰金20万円の略式命令が出たが、業務上過失致死については「被害者の自転車が直前で斜め横断していた可能性がある」として、不起訴処分にしていた。

被害者の両親が民間の調査機関に依頼して行った実験では、自転車の破損部位から「斜めではなく、後方から追突された可能性が高い」と判断され、これを主張の柱として岡山検察審査会に不起訴不当の申し立てを行っていた。

同審査会はこれまでに3回の不起訴不当を議決する異例の展開となったが、検察はいずれも主張の検証を行う再捜査には着手せず、今回も結果として4回目の不起訴を決めた。公訴時効は22日午前0時のため、捜査はこれで完全に終結した。

今回の不起訴について、岡山地検は「嫌疑不十分」を理由としている。つまり「容疑者の責任を追及するに足る証拠が得られなかった」ということでもある。本件では初動の段階で警察が杜撰な捜査を行った可能性が高く、穴だらけともいえる当時の資料読み直しでは容疑者の責任追及が難しいと指摘する声は以前から出ていた。

また、公訴時効までの期間が短かったこともあり、「検察主導で改めて行うこともできる再捜査の実施を嫌ったのではないか」と指摘する法曹関係者もいる。今回の決定は検察不信を招く事態にもなりそうだ。

《石田真一》

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