JFEスチールは、建設機械用の超高強度厚板ハイテン『JFE-HYD1100LE』を開発し、サンプル出荷を開始した。耐遅れ破壊特性に優れ、強度レベルでは世界で初めてオンラインで製造する鋼材となる。
同社は、世界に先駆けて厚板オンライン熱処理設備「HOP」を独自開発し、ハイテン材やラインパイプ材などの高級鋼生産に適用しており、JFE-HYD1100LEは、HOP設備の導入により誕生した。
JFE-HYD1100LEは、降伏強度1100MPa以上、引張強度1180MPa以上の超高強度厚板で、マイナス40度の低温靭性を保証する。さらに、超高強度鋼の実用化に重要な要素となる耐遅れ破壊特性が高い。
鉄鋼材料は、高強度化に伴って、一般的に、靭性や耐遅れ破壊特性が劣化する。新商品は、圧延および冷却条件を工夫し、加工硬化状態のオーステナイトから焼入れて、マルテンサイト変態させることで得られるオースフォーム効果やHOP適用による急速加熱焼戻し技術などの組織制御技術を組み合わせることで、組織およびセメンタイトの微細化を極限まで追求した。
また、これらの技術の適用は、鋼材の強度・靭性バランスの向上を図れるため、低合金成分設計が可能となり、従来鋼よりも高い溶接性も兼備するとしている。