マツダのミドルクラス、新型『アテンザ』のエンジンは、2.0リットル直4、2.5リットル直4の2種類。このうち2リットルは吸排気系を中心に旧型をファインチューンしたもので、スペックは150ps/18.6kgmと、旧型と変わらず。
2.5リットルの「L5-VE」型エンジンのほうは、旧型の2.3リットルをベースにボア、ストロークをアップしてトルクアップを図った新エンジンだ。スペックを見ると、FWD(全輪駆動)仕様の最高出力は旧型比8psダウンの170ps、最大トルクは1.1kgアップの23.0kgmとなっている。
最高出力が下がったのは、旧型がプレミアム仕様であったのに対し、新型はレギュラー仕様とされたことが大きい。圧縮比も10.6から9.7へと下げられたが、排気量が拡大されたにもかかわらず燃費性能はグレードによっては12.8km/リットル(10・15モード)と、旧型を上回るものとなっている。
パワートレイン開発推進部の高戸剛氏は、セッティングの狙いについて「新型アテンザの2.5リットルエンジンは、スペック上の数字ではなく、スロットルを踏み込んだとき、リニアに、気持ちよく加速できるというドライビングフィールの実現を主眼にチューニングしました。ピークパワーよりも中低速トルクを増強し、どのような速度域でも爽快なレスポンスを楽しんでいただけるような仕上がりになったと自負しています」と語る。
連続可変バルブタイミング「S-VT」や可変吸気システム「VIS」といったコンポーネンツは旧型から継承され、直噴システムやバルブによる吸気制御などの最新デバイスは装備されていないが、「スポーティな高速ツアラーとして充分以上に楽しめるエンジン」(高戸氏)。
必要充分なスペックのエンジンではあるが、旧型が吸気脈動オンリーだったのに対し、マツダがかつて得意としていた慣性過給を積極利用するなど、フィーリング向上のためのチューニングを丁寧に行ったという。
トランスミッションは、旧型のマイナーチェンジ時から採用されている、マツダ内製の5速AT。こちらも電子制御スロットルなどとの協調制御をさらに強化し、旧型がスロットルを踏み込むといきなりドーンと飛び出すような癖があったのに対し、「停車状態から発進加速を経て流れに乗るまでの動きを徹底的に洗練させました」(高戸氏)。4WDモデルにはアイシンAW製の6速ATが組み合わされる。
2.0リットルでも必要充分な動力性能を持つアテンザだが、ロングツーリングのゆとりを重視するユーザーにとっては、2.5リットル搭載車もかなり魅力的だ。