伊アリタリア航空のエールフランス-KLMグループ(AF-KLM)による買収交渉が2日午後、事実上決裂した。
経営再建中のアリタリアと筆頭株主であるイタリア政府は昨年12月、同社の売却検討先をAF-KLMに一本化し、その実現を模索してきた。しかし人員削減規模や不採算部門の整理に関して労働組合との交渉が難航。2日も組合側からの逆提案をAF-KLM側が審議していた。
その結果、妥協策が見出せないとしたAF-KLMのジャン・シリル・スピネッタ会長が買収交渉中止を明らかにした。同時に、アリタリアのマウリツィオ・プラト会長は辞任の意向を示した。
アリタリアはこの4月から経費節減のため発着地をローマに集約するいっぽうで、北の玄関口であるミラノ・マルペンサ便を大幅に減便するダイヤを実施した。そのため、ミラノのあるロンバルディア州や、職を失うのを危惧する空港関係者による大きな反発がすでに起きている。2日にはナポリ空港でも職員が規制エリアでデモをする騒ぎが起きた。
過去10年近く続くアリタリア再建問題は今回も解決できなかったことになる。「嫁入り先」が決まらぬ航空会社は、4月13・14日投票を前に盛り上がりをみせているイタリア総選挙でも議論の争点となろう。
ちなみに、辞任の意向を示したプラト会長は交渉難航の過程で、「アリタリアは呪いにとりつかれている。解決できるのは祈祷師しかいない」と語ったという。