今年1月、青森県青森市内を走行中の観光バスが凍結路面でスリップして路外に逸脱、乗客が死傷した事故で、青森地裁は運転手に対し執行猶予付きの有罪判決を命じた。裁判長は「被告は反省しており、被害者や遺族も厳罰を望んではいない」とした。
事故は今年1月4日午前に発生している。青森市雲谷付近の国道103号を走行していた大型観光バスが圧雪路面でスリップして路外に逸脱、横転した状態で約5m下に転落した。車外に投げ出されて車体の下敷きとなった38歳の女性が死亡、他の乗客25人が骨折や打撲の重軽傷を負った。
青森県警はバスを運転していた57歳(当時)の男を自動車運転過失致死傷容疑で逮捕。事故を起こしたバスはスタッドレスタイヤを装着していたが、チェーンの装着は行っておらず、運転していた男は圧雪路の走行に慣れていなかったことが後の調べで判明している。
14日に開かれた判決公判で、青森地裁の福家康史裁判長は事故直前のバスが35 - 40km/h程度の速度で走行していたことを認定。「被告は運転手として、乗客の安全に責任を負う立場にありながら、カーブ手前で必要とされる減速を怠るなど、基本的な注意義務に反した過失は大きい」と指摘した。
その上で裁判長は「被告は自身のミスで事故を発生させたことを認識して反省しており、被害者や遺族も厳罰を望んではいない」として情状の酌量を容認。被告に対して禁固3年(執行猶予5年)の有罪判決を言い渡している。