NECエレクトロニクスとNECは、次世代LSIの低消費電力化を低コストで実現する技術を開発したと発表した。
新技術は、ゲート電極の材料をニッケルダイシリサイド(NiSi2)へ置き換えるメタルゲート構造を採用することで、トランジスタの閾値電圧を制御する技術。従来の材料と製造設備により、ロジック部を構成する閾値電圧の低いトランジスタ2種類およびメモリ部などを構成する閾値電圧の高いトランジスタ1種類、計3種類のトランジスタを形成することが可能になる。
いつでもどこでもネットワークにアクセスできるユビキタス化の進展に伴い、携帯電話、デジタル家電、携帯音楽プレーヤー、カーナビなどの各種電子機器は多機能化が進み、市場には続々と新製品が投入されている。これらの機器に搭載されるLSIは、多機能化に伴い、さらなる低消費電力化・高機能化を低コストで実現することが求められている。
今回開発した技術は、低消費電力LSIを低コストで実現するというこれらの要望に応えるとともに、一種類のしかも従来使用されてきたシリコンプロセスと親和性の高い金属材料で3種類の閾値を持つトランジスタを、同一ウェハ上に製造容易性を確保しながら実現するもの。
新技術を用いて試作されたSRAMは、ポリシリコンゲートを使った場合に比べて30%の低消費電力動作が可能であると同時に、ゲートリーク電流も100分の1に低減できるため、待機電力の削減にも有効。