高騰を続ける燃料価格
今年の夏は、原油高による燃料価格の高騰でクルマの走行距離や渋滞、燃料消費が減ったと言われている。最近の自動車燃料の価格と販売量の統計から、価格がどのように消費に影響しているか、見てみよう。
燃料価格は2004年から上昇傾向にあったが、昨年春ごろから上げ幅が急になってきた。特に今年5月、暫定税率の復活もありレギュラーガソリンが160円台にまで上昇し、さらに6月に170円、7月には180円台と月10円以上の値上がりが続いた(図1)。
燃料価格の上昇は、クルマの利用を控えるので渋滞が減る、エコドライブを心がけるなど、いずれも燃料の消費量を減らす方向に働く。主な自動車燃料であるガソリンと軽油の販売量はどのくらい変化したのだろうか。
◆価格と販売量が月単位で連動
07年4月からのガソリンと軽油の月別販売量を前の年と比較しながら見てみよう。07年4月以降、まず夏に減少、夏の終わりから一旦増加し年末にかけて再び減少、08年正月はやや増加……、となっている(図2)。
他方、燃料価格は、レギュラーガソリンを例にとると、4月の130円から夏に140円台後半まで上昇、9月に一旦下がり、再び年末にかけ150円台後半に上昇、08年正月は幾分下がっている。07年4月以降、燃料の価格と販売量は月単位で連動(負の相関)を示すようになった。
08年3月と4月の10%を超える増減は、暫定税率失効による買い控えとその反動、08年5月以降のマイナスは、価格がさらに高騰したためであることは言うまでもない。8月後半からは幾分下落するものの、今後も価格の高値安定と販売量の減少基調が続くだろう。
◆CO2は減っても…
3月の買い控えもあって、07年度のガソリンと軽油の販売量の月平均値は前年度比マイナス2.6%となった。08年度は、4月が大幅増となった影響で7月段階では前年比マイナス1.1%に留まっている(図2)。
しかし、秋以降の価格下落幅はそう大きくはなく、販売量は08年度も平均2%以上減ると筆者はみている。自動車の燃料消費量が1%減ると、CO2は200万トン以上減る。この調子だと、07、08年度の2年間だけで運輸部門のCO2は1000万トン以上減るのではないか。
燃料価格の上昇が、省エネとCO2削減を進める大きなファクターであることは間違いない。しかし急激な変化や高すぎる価格は、経済や生活に与える損失も大きい。プライシングは諸刃の剣である。