住友ゴム工業は、高性能タイヤの設計のためのシミュレーション技術「デジタイヤ」に新たに「タイヤパターンノイズシミュレーション」技術を追加し、タイヤが走行する際に発生する放射音のシミュレーションを実現させることに成功した。
タイヤパターンノイズの発生要因は主に2つある。
ひとつは、パターンブロックが路面を叩いて生じるタイヤ振動による「インパクトノイズ」で、もうひとつが、タイヤの溝の内の空気がタイヤの接地により路面でふさがれた後離面により開放されることで生じる「ポンピングノイズ」だ。
この2つのノイズに関係する重要なタイヤの詳細挙動はタイヤ転動シミュレーションを用いて求められ、その結果を使って空力シミュレーションを行うことで空気の圧力変動、つまり音をシミュレーションすることが可能となった。特にポンピングノイズをシミュレーションするには空気の圧縮膨張による圧力変動を計算する必要がり、空力シミュレーションが必須となる。
タイヤパターンノイズは、テストコースや実験室で、実際に音を計測して評価することが可能だが、音はどこでどのように発生しているかを観察することは困難だ。しかし、タイヤパターンノイズシミュレーションを使えば、音の発生源や発生メカニズムの解明が期待でき、今後のパターン開発効率化や、交通騒音に関する環境問題改善にも結びつく可能性がある。
同社では今回のタイヤパターンノイズシミュレーション開発で、デジタル・ローリング・シミュレーションのシミュレーション技術開発は完成したとしている。