【アウディ A4 試乗】デザインはますますドイツらしく…ボブ・スリーヴァ

試乗記 国産車
【アウディ A4 試乗】デザインはますますドイツらしく…ボブ・スリーヴァ
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新型アウディ『A4』は一言で言うと傑作だ。細かく見ると気になるところもあるけど、総体的に非常によく出来ている、魅力的なクルマである。

最近のアウディはドイツ車の中で一番ドイツらしいブランドである。BMWのクラシックから前衛に進化したデザインには大賛成だけど、ドイツ車から国際車になった感じがする。アウディはますますドイツらしくなってきた。

その傾向はA4に全面的に現れている。アウディデザインの強みはいろいろあるけど、まずプロポーションをあげたい。A4は、アウディのシニアデザイナーの和田さんがいつもいう「われわれの仕事の80%がプロポーションを決めること」ということの証左だ。

A4は、ヨーロッパ的な彫刻がルーツとなった美しいプロポーションを備える。装飾でデザインのアイデンティティを出そうとしているメーカーの車に対して、全体のフォルムが必ずバランスしているアウディ車はそれだけで目立つ。

加えてA4は、『A5』で始めたエモーショナルなアクセントラインを存分に、そして上手く取り入れてデザイン品質をあげた。見る人間が自然に受け入れられるクラシックなプロポーションのボディに、感情的なデザイン要素を組み合わたのだ。

アウディのデザインに対して好き嫌いははっきり別れる。特にグリルに関して。しかし、誰もに嫌われないクルマは、誰にも愛されないクルマなのだ。シングルフレームグリルについては、7年前に登場した頃はボディの造形に対して確かに主張が強すぎた。しかしA4ではグリルに対しボディの存在感がぜんぜん負けてない。

いっぽうインテリアデザインについては、アウディが業界のベンチマークとなっている。A4は感性品質が非常に高い。感性品質とはトヨタ的な“壊れない”品質ではなく、ユーザーが五感で感じ、“いいな”と言いいたくなる品質だ。安い樹脂の部品でもデザインの工夫で水準以上に仕上げている。デザインが機能を活かしているのだ。A4のデザインには冒険的なところはないが、買ったら日々使う中でその良さが少しずつ感じられるだろう。

さらに最近のアウディはディテールのデザインにも力入れている。例えばA4ではヘッドライトの下に十数個のLEDを奇麗に並べ、見て瞬間的にわかるアイデンティティとしている。夕方、暗くなって初めてA4を見た時、思わず「かっこいいな」と言ってしまった。

ドイツのライバル車のデザイン、実験的で怖いものなしのBMWや迷っているメルセデスベンツなどと比べると、じわじわ熟成されてきたアウディのA4のデザインは、魅力的な面白い提案だ。

本当のことを言うなら、個人的にA4のデザインはちょっと完璧にすぎる。安全すぎるかも知れない。自分は欠点だらけの変わり者だから……。

ボブ・スリーヴァ│モータージャーナリスト
米国マサチューセッツ生まれ、1983年に来日。日本と海外の企業にデザインと世界のマーケット分析を提供、多数の内外メディアに執筆。現在、日本最大級の工業デザイン会社『コボデザイン』のアドバンス・デザイン・ディレクター。1994年から日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『レクサスが一番になった理由』、『ブランドデザインが会社を救う!』(いずれも小学館)。

《ボブ・スリーヴァ》

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