『A4』だけではないが、アウデイというクルマを見た目だけで云々することはきわめて難しい作業だ。それは、水晶玉の優劣を論ずる様なものだからだ。言い換えれば、無色透明なものに、敢えて何らかの色彩を見ようとすることでもある。「無個性の個性を見つけ出すこと」とでもいえるだろう。
具体的に言えば、メルセデス『Cクラス』でもなく、BMW『3シリーズ』でもなく、『パサート』以上のVWでもなく、増してポルシェではあり得ない。しかし紛れもないドイツ車なのである。
だが、アウデイというクルマの、特にA4の辛いところ(特に日本市場での)は、ポルシェは別として、それらどのドイツ車とも置き換えが効くと言う点だろう。それを少なからず救っているのは、平均的なレベルからすれば決して安価ではない価格ではあるまいか?
例えば、アウデイ「A4 1.8TFSI」の419万円という価格は決して安価なものではない。同じDセグメントに属するボルボ『S40 Aktiv』(こちらは2.4リッターだが)は305万円、プジョー『407 SV2.2』が409万円という具合だ。
もちろん、クルマは値段だけで乗るわけではないが、それにしても、優等生的な4ドア・セダンである車種としてはいささか高価に過ぎるのではないだろうか? まあ、アウデイA4のあの御面相が、街中にあふれるのを想像するのも、何か気味が悪いのだけれど。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:無評価
フットワーク:無評価
オススメ度:★★★★
川上完|モータージャーナリスト
芸能誌カメラマンを経て、男性誌のクルマリポーターからジャーナリストの道へ。旧いクルマ大好きの変人(?)