環境問題や原油高騰、金融危機などが渦巻いたこの1年を通して強く実感したことは、「クルマは今、大きく変わることが必要であり、求められているんだ」ということでした。
既存の常識、価値観を一度リセットするくらいの、勇気と斬新な発想をもったクルマ造り。今はまだ不完全でも、その一歩を踏み出すことに意義があると考えました。そうした観点から、私はトヨタ『iQ』に10点を入れています。
でも、そこに至るまでにいくつかネックとなった要素があり、最後まで悩みに悩みました。
ひとつは、iQがまだ発表後間もなく、ユーザーの手に渡っていないという点です。私の個人的な選考基準の1つとして、「実際のユーザーが、購入価格に対して本当に満足しているかどうか」も重視していますが、iQはその点に関して確認できないですよね。
そしてもうひとつ、「乗る人の心を豊かにしてくれるかどうか、楽しませてくれるかどうか」という点。これに関しては、開発者にかなりしつこく聞き、これから順次、様々なアイデアで力を入れていく準備を進めていることが確認できたので、納得しました。
また最後にどうしても確認したかった点が、4人乗車でのリアシートの居住性、乗り心地でした。これも投票直前にクリアでき、決め手のひとつとなっています。
それにしても今回のCOTY、大混戦になるかと予想していたのですが、蓋を開けてみれば40人もの選考委員がiQに10点。かなり驚きました。それだけみんな、クルマの未来に少なからず不安を抱いており、生まれたばかりのiQに大きな期待を寄せたということでしょうね。
まるも亜希子|カーライフ・ジャーナリスト
大学在学中に声優デビュー、卒業後は自動車専門誌で編集者を6年間務める。2003年、カーライフ・ジャーナリストとして独立し、クルマのある生活を様々な角度から検証・提案する活動を開始。雑誌、ウェブ等への寄稿&プロデュース、ラジオ、CS、イベントへの出演等を軸に活動中。また、輝く女性のためのサイト『ABILC』(アビリーク)を立ち上げ、アクティブに美しく生きる女性への情報やコラムを発信。2004年、2005年には、サハラ砂漠2500kmを走破する女性だけのラリーに挑戦し、日本人チームとして初めて完走。