富士キメラ総研は、メカトロニクス化が進行する世界の自動車分野のシステム/機器市場を調査・分析し、その将来を予測した報告書「ワールドワイド車載電装関連市場総調査 version2008-2009<上巻:システム・機器編>」にまとめた。
調査対象は、エンジンマネジメント系8品目、足回り系6品目、ボディ系5品目、安全系6品目、情報系6品目、環境対策車関連5品目の合計36品目。
今回の調査報告書は、今年後半に起こった急速な市場変動は織り込んでいない。この調査実施後の市場激変の修正は、現在まとめている自動車部品編(下巻)の報告書を発表する時点で追補データを提供する予定。
車載電装(システム/機器)36品目のワールドワイドの2007年実績は15兆1784億円となった。2013年は、2007年比22.6%の伸びで18兆6045億円になると推定した。
石油価格の高騰により車の生産台数が日欧米で落ち込んでおり、2006年に日本、EU、NAFTA(北米)で生産された四輪車生産台数は4563万台だったのに対して、2007年は4651万台、2008年は4502万台に落ち込む見込み。しかし、自動車メーカーおよびサプライヤーは売れる車作りの技術開発を強化している。
これらの対策のキーワードになるのが電子制御化。各機構を電子制御することによって緻密な制御や他の制御との連携を図ることも可能となる。最近の車では、普及価格帯でもパワーステアリングや変速機、ABSの動作などを連動させることが当たり前になっている。
これらの機器はいずれも車速センサからの速度情報を必要としているが、それぞれの機器に速度センサから1本1本配線していたのでは繁雑になる。速度信号はスピードメーターも必要で、ナビゲーションシステムも、速度信号を基に現在位置を計算する。このように他の制御と連携を図るための情報交換手段として車載ネットワークが必要。
現在標準となっている車載ネットワーク規格はCANだが、今後さらにエレクトロニクス化を進展させるために次世代ネットワーク規格「FlexRay」などが提案されている。
また、車載の電子制御システムが大規模・複雑化しているなかで、ソフトウェアの開発工数も大幅に増大している。このような規模と複雑性の増大に対処するため、車載ソフトウェアを層構造化し、それぞれのインターフェースを標準化、各社によって違うOSやミドルウェアの標準化が進められていると、分析している。