【池原照雄の単眼複眼】画期的だ! 重量税、取得税の減・免税

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【池原照雄の単眼複眼】画期的だ! 重量税、取得税の減・免税
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31万台の需要押し上げ効果

与党の2009年度税制改正で、環境負荷の小さい新車を対象にした減・免税が実施されることになった。大部分のハイブリッド車(HV)やすべてのクリーンディーゼル乗用車(09年規制適合車)、電気自動車(EV)では自動車重量税(新車購入時の3年分)と自動車取得税が免除となるなど、自動車減税では過去にない画期的な内容だ。

10月29日の本欄で「経済対策に自動車減税があっていい」と指摘したが、今回の措置は縮小が続く国内新車市場を年間で「約31万台押し上げる」(自民党経済産業部会試算)効果が見込まれている。従来の「グリーン税制」などとは違い、経済対策として十分なインパクトをもった新税制となった。

この税制は09年度からの道路特定財源の一般財源化に伴い新設される。実施は同年度から3年間とされているが、厳密には取得税が3年間、重量税については見直し時期の関係で09年4月1日から2012年4月末までの3年1か月となる。税の軽減は環境性能によって取得税、重量税ともに(1)免除、(2)75%軽減、(3)50%軽減---の3段階に分かれる。

◆重量税は一部既販車も対象に

乗用車の場合、05年排ガス規制を75%低減した、いわゆる「4つ星」(☆☆☆☆)車が基本となる。そのうえで、HV(プラグインHV含む)については10年度燃費基準を25%上回るものは免税となる。さらに、09年排ガス規制に適合したクリーンディーゼル車、EVは燃費性能に関わらず免税の対象となる。

こうした次世代環境車以外は「☆☆☆☆」かつ燃費性能との組み合わせで減税が決まる。10年度燃費基準(ディーゼルは05年度基準)を25%上回るものは税の軽減率が75%、また同燃費基準を15%上回るものは軽減率が50%となる。

さらに、重量税についてはこの新税制期間中(12年4月末まで)に初回の継続車検を受ける既販車に限り、環境性能に応じて新車同様に免除-50%軽減まで3段階の措置が受けられる。具体的には06年4月以降販売された新車で、初回の継続車検時に重量税2年分が減・免税される。

◆減・免税額は年2100億円規模

与党の試算によると、新税制はトラック・バスを含み年間で約213万台の新車が対象になり、減・免税額は年2100億円規模という。現在実施されている低燃費車の「グリーン税制」やHVなどを対象とした「クリーンエネルギー車税制」は、年間の減税規模が計200億円強。新税制では1ケタ違う10倍程度に拡充される。

HVの場合、トヨタ自動車の『プリウス』やホンダが来年発売する『インサイト』では新車購入時の税負担が15万 - 16万円程度軽減される見込みだ。来年3月ごろには新税制待ちの買い控えが表面化して来よう。自動車メーカーや販売会社は、値引きによる減税先取りセールスが必要となろうが、税制が変わる時はそれも止むを得ない。

《池原照雄》

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