東芝は、新型二次電池『SCiB』の将来の需要拡大を見込んで、新工場の建設を決定した。現在生産を行う佐久工場(長野県佐久市)に続く新しい量産工場に、新潟県柏崎市を第一候補として、今後具体的な検討を進める。
SCiBは、高い安全性と、一日一回充放電を行っても10年以上使用可能な長寿命性能、5分間で容量の90%以上の充電が可能な急速充電性能を備えている。すでにキャノンデールスポーツグループの電動自転車への採用が決まっているほか、現在、さまざまな企業から高い関心を得ている。
また、2010年度以降、産業用途、車載用途のリチウムイオン電池の需要の大幅な伸張が予想され、2015年度には、グローバルなリチウムイオン電池市場全体で約1兆7000億円の市場規模が見込まれている。こうした中で、新たに量産工場を建設することで、今後の産業用途や車載用途の需要急増にタイムリーに対応できる体制を整える。
新潟県では、経済産業省が推進する「EV・pHVタウン構想」に柏崎・刈羽地域をモデル地域の一つとして応募しており、低炭素社会実現・関連産業の創出を目指して電気自動車にかかわる取り組みを展開している。今回の候補地検討では、将来的に車載用途向けへの採用も目指すSCiB事業と方向性が一致していることや、先行する佐久工場に近接していること、さらに助成制度など、総合的な見地から判断、複数ある候補地の中から柏崎市を第一候補として選定した。
新工場は、2009年秋頃の着工を目指し、産業用途の需要拡大が期待できる2010年秋を目処に量産を開始する計画。工場建設地の決定時期や、具体的な建設予定地、建設スケジュールなどの詳細については、今後の市場動向を踏まえ、改めて決定する。