【ホンダ インサイト 試乗】プリウスにはない、インサイトのすごさ…神尾寿

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【ホンダ インサイト 試乗】プリウスにはない、インサイトのすごさ…神尾寿
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『インサイト』は「ハイブリッドカーであること」の、ユーザーエクスペリエンスが薄い。モーターの存在感が希薄で、できのいいエンジンの影にひっそりと寄り添っている。このクルマがエコカーであることを実感するのは、交差点でアイドリングストップした時くらい。それとてON/OFFの制御があまりに巧みなので、意識してないと気づかないくらい自然に作動するのだ。

【画像全5枚】

誤解を恐れずにいえば、インサイトは「とてもよくできた普通のクルマ」だ。『プリウス』みたいに「ああ、このクルマはモーターで走っているんだぁ」という新鮮さや感激はない。エコでロハスなスペシャリティ感を求める人には、インサイトは正直ものたりないと思う。プリウス慣れしたハリウッドのセレブ達をうならせることは、たぶんできない。

しかし、それが「インサイトのすごさ」。内助の功に徹したモーターのアシストはその存在を感じないほど自然であり、回生ブレーキの作動やアイドリングストップから立ち上がりもウルトラスムーズだ。燃費を追い求めて空力性能や遮熱性能を高めた結果、快適性の面においても200万円前後のクルマとは思えないクオリティを実現している。インサイトは、いい意味で特別ではないハイブリッドカーだ。いわば、20世紀のクルマからごく自然に乗り換えられる、代替系ハイブリッドカーである。

だが、不満もある。エクステリアデザインは燃費性能向上が求められる時代をうまく表現していいのだけれども、インテリアの発想がとてもチープだ。特にインパネ周りは演出過剰で、外連味たっぷり。'80年代のロボットアニメ的で、'90年代 ポスト・ガンダム世代として育った筆者には古めかしくさえ感じた。ハイブリッドカーの先進性をインテリアやUIデザインのサイバー感で表現したかったのかもしれないが、だとしたらそのセンスは、今のトレンドから20年分くらいは古い。

そもそもインサイトは知的でクリーンがコンセプトのはず。インテリアデザインは極力シンプルにし、先進性や高級感ではなく、高品質感を出した方がいい。Appleの最新MacBookやiPodシリーズのように、シンプルでセンスのいいインテリアやUIのデザインが実現されていたら、インサイトの魅力は倍増していただろう。スピードメーター内のアンビエントモニターなど個々のアイディアは優れていただけに残念だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★☆☆
インテリア/居住性:★☆☆☆☆
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★☆☆
おススメ度:★★★★☆

神尾寿|通信・ITSジャーナリスト
IT専門誌契約ライター、大手携帯電話会社へのデータ通信ビジネスのコンサルタントなどを経て、1999年にジャーナリストとして独立。著書は「自動車ITS革命」など。専門は通信とITSビジネス。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《神尾寿》

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