日産自動車は27日、神奈川県厚木市にある日産デザインセンターで「インタラクションデザインワークショップ」を開催した。本イベントで同社は自動車のインテリアをより使いやすく、より快適にするための取り組みを、今回初公開となる研究車両と共に紹介した。
日産では「インタラクションデザイン」を「人の感じ方をデザインすること」と定義し、「人がクルマと係わる際に、全ての要素がスムースで魅力的に感じられるデザイン」を目指している。同社ではインターフェースデザイン、カラー&マテリアルデザイン、感性品質デザインの3つを広義に「インタラクションデザイン」と位置付け、今回のイベントでは各分野での取り組みを様々な体験コーナーを設けてわかりやすく紹介した。
インテリアデザインの研究車両で今回初公開となる『BUI-2(Best Usability Interior-2)』は、『ノート』をベースに様々な新しい試みが詰め込まれた。新型『フェアレディZ』や新型『キューブ』には既に採用されている「インサイドドアハンドル」は、人が車に乗降りする際に左右の両方の手を使うケースがあることに着目し、どちらの手でも開けやすい形状を研究し生まれたものだ。
他に、どんな持ち方でもしっかりと支えることができるドアグリップや、誤操作のないよう操作する手の形に合わせられた前後ウィンドウスイッチ、一瞬見ただけでもはっきりと認識できる「オープンフォント」を採用したメーターパネル、エンジンスタートからシフト操作への流れを自然に行えるインパネのレイアウトなど、使いやすさ・心地よさを向上させるデザインが施された。
カラー&マテリアルデザインでは、『ティアナ』、フェアレディZ、キューブを例に、それぞれのインテリアの色合いの違いを紹介。上級セダンのティアナではインパネ上部を明るくして開放感と心地よさを演出し、一方スポーツカーのフェアレディZではルーフ・ピラーを黒にすることでクルマとの一体感や運転への集中力を高める演出が行われている。また「Sofilez(ソフィルス)」と呼ばれる本革を超えたやわらかさと耐久性、質感を持つ合成皮革や、手触りの良さ・柔らかさを感じさせるプラスチック素材の研究などが紹介された。これらも既にフェアレディZなどに採用されている技術だ。
本ワークショップの開催にあたり、インタラクションデザイン部のアソシエートチーフデザイナーである渡辺悦啓氏は「我々のチームはデザイン本部内はもちろん、設計、商品企画、マーケティング&セールス、購買部門とも部門横断的な活動をしています。我々がこれまで提案したアイテムの中には新製品にすでに採用された事例もあり、今後もこういったケースは増えていくと考えています。」と述べた。
同社は今後も様々な調査・研究を通して、さらなるインテリアの使い勝手と魅力度の向上に努めていく、としている。