「BRIDGESTONEインディジャパン300マイル」(IRLインディカー・シリーズ第16戦、9月19日決勝)の記者発表会に出席した武藤英紀は、初優勝を目指す新シーズンに向けて「このオフは、まず体重を増やしました」というエピソードを披露した。
これは、体力不足を補おうなどという増量ではない(彼の体力には何の問題もない)。ちょっと複雑な話になるのだが、インディカーの規定上、シーズンイン前の体重測定でドライバーの体重が重い方がマシンセットアップの面で有利になる(マシンの車重を軽くできる)ためで、「72kgまで増やして、今はもう(測定後なので)66kgまで絞っています」とのこと。そして「あと1kg」落とせば、ベストな体重になるそうだ。
26歳の武藤は、欧州武者修行を経て2002年からフォーミュラドリームに参戦。翌03年にはチャンピオンとなり、04 - 05年は全日本F3に参戦。06年にフォーミュラニッポンとSUPER GTを戦い、07年から新天地アメリカへ。インディカー・シリーズの下部シリーズ、インディ・プロ(現インディライツ)で年間総合2位となり、同年最終戦では最高峰インディカー・シリーズにデビュー。そして昨08年はインディカーにフル参戦して最高位2位、シリーズ10位という好成績をおさめた。この間、06年のSUPER GTから3年連続で、それぞれ別カテゴリーで“新人賞”を獲得してもいる。
フル参戦2年目の今季は、テストでも「マシンコントロールの幅が広がったと実感している」と言う武藤。今季もトップチームの一角、アンドレッティ・グリーン・レーシングから参戦する彼には、日本人初となるインディカー優勝の期待がかかる。本人も、「誰よりも僕自身が、いちばん勝ちたいと思っている」と、力を込めて宣言した。