4月10日から30台の限定車として発売されたボルボ『S80』の「2.5T SE」には、日本仕様で初めて2.5リットルの直5ターボエンジンが搭載されている。
今まで日本に導入されていたボルボの『S80』は、フラッグシップサルーンということもあり、3.2リットルの直6と4.4リットルのV8エンジンを設定していた。
ボルボ・カーズ・ジャパン マーケティング部の岡田勝也さんは「既存のS80は直6とV8だけの設定でしたが、この限定車はV70などで好評を得ている2.5リットルの直5ターボを搭載しています。このエンジンは低速からターボが効くのでS80の大きなボディでも力負けしない実力を持っています」とコメント。
実際にS80 2.5T SEのエンジンは、わずか1500rpmから3リットル車並みの最大トルクを発揮してくれるので、S80のボディでも力不足を感じるシーンは少なく、むしろ低回転域の力強さは、こちらのほうが勝っていると感じられるぐらいだ。滑らかな回転フィールや静粛性などは直6エンジンよりも多少劣っているが、動力性能面で不満を感じることはまったくない。ライバルの2.5リットル自然吸気車と比べても、はるかに軽快に走ってくれる。
トランスミッションも3.2リットルの直6と同じ6ATを採用しているので、日常的な走行状況では排気量が縮小されたことのハンデはほとんど感じられない。タイヤサイズが3.2SEよりも細くなってはいるが、ハンドリングにも大きな影響はなく、S80の穏やかなフットワークにマッチしている。
S80のボディで2.5リットルと聞くと力不足を懸念する人もいると思うが、低回転からナチュラルにトルクを発揮してくれるターボエンジンなので、その心配は無用だ。むしろ、このエンジンを搭載することで、充実した安全装備を追加してもリーズナブルな価格帯を実現していることを歓迎すべきだろう。