インポーターは14年ぶりの『Eクラスクーペ』復活とアナウンスするけれど、実は『CLK』の後継車で、ホイールベースは『Cクラス』と等しい。メカ的にはEよりCのセダンに近いようだ。
でもそれでいい。そもそもクーペはフランス語で「短い」を示す単語が語源。デカいクーペは逆にナンセンスなのだ。しかもセンターピラーレスのキャビンに入ると、セダンとは違うハイバックの前席と、同じデザインでそろえた後席、ワインレッドやキャメルのカラーが、スポーティでパーソナルな空間を演出。セダンのオフィスっぽい雰囲気はない。スーツよりドレスが似合う、特別なクルマであることを静かにアピールしてくる。
ボディがセダンより小さいから、走りはもちろん軽快。でもCクラスよりは落ち着いた身のこなしで、Eクラスの一員であることを教えてくれる。それでいて価格は、作りが凝っているのにセダンと同レベル。なによりボディサイズが日本向きなのがいい。
スタイリングもエレガントだし、「メルセデスはちょっと……」と足踏みしていた裕福な女性ユーザーのハートをつかみそう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
森口将之|モータージャーナリスト 試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)、『パリ流 環境社会への挑戦』など。