【東京モーターショー09】ダイハツの新燃料電池に期待大

自動車 ニューモデル モーターショー
ダイハツ燃料電池スタディ
ダイハツ燃料電池スタディ 全 6 枚 拡大写真

トヨタ、ホンダばかりが注目を浴びがちな燃料電池車の研究開発だけれど、実はダイハツも96年から燃料電池車の開発を続けている。今回の東京モーターショーでは、高圧水素ガスに代わる燃料として、ハイドラジン・ハイドレート(水加ヒドラジン)を使った燃料電池車のシャーシモデルを展示した。

メリットはまず、保存が難しく、高圧タンクでは航続距離も伸ばしにくい水素ガスに比べて、水加ヒドラジンを使うことで安全かつ大量に搭載できるため、航続距離を伸ばしやすいのだ。ちなみに水加ヒドラジンはアンモニアに近い組成をもつ合成燃料で、水素と窒素からなるために空気中からも作り出すことができるものだ。

アルコールやアンモニアなどを使った燃料電池のように、水加ヒドラジンを改質して水素を取り出して電力を作ることもできるけれど、水加ヒドラジンのまま発電させた方が高い電圧を得られるのもメリットだ。つまり発電効率は水素より高く、揮発性もないためガソリンよりも安全なのである。

しかも水素を燃料とした場合、触媒に白金などの貴金属を使わなければならず、これもコストを大きく押し上げている。ところが水加ヒドラジンを使うことにより電池の特性をアルカリ性にできる(水素原子の場合は酸性)ため、触媒はコバルトやニッケルなどで実現可能になるのだとか。これによって大幅に生産コストは削減できそうだ。

まだ原理モデルが完成した状態で、今回のショーでもミニチュア版がシャーシモデルの周囲をクルクルと周回するまでに留まっているが、実車での走行実験も現実的なレベルに届こうとしている。

開発を担当しているエンジニアによれば、当面の目標はガソリン車と同等の走行コストだと言う。水加ヒドラジンは現在、建材の製造などに使われており、リッターあたり400円程度となっているが、燃料電池の燃料として確立すれば生産量の増大でコストダウンも進む。そう考えれば、リアルなクリーンエネルギーの次世代車として、現実味も高まる。

実現すればガソリンスタンドでの充填も可能だし、軽自動車サイズの燃料電池車も登場するハズ。ここは是非ダイハツに開発を推進してもらい、2年後の東京モーターショーには、実車の実験車両、もしくはコンセプトモデルの登場を期待しよう。

《高根英幸》

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