VW、カルマンの工場を買収へ…新型オープンスポーツカーを生産か

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コンセプトブルースポーツ
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フォルクスワーゲングループは20日、経営破たんしたドイツのコーチビルダー、カルマン社の工場を買収する計画を明らかにした。カルマンの債権者との交渉がまとまれば、2011年から新プロジェクト車の生産に着手する。

カルマン社は1901年創業の老舗コーチビルダー。ソフトトップオープンカーの開発・生産に関して、豊富なノウハウを持つことから、多くの自動車メーカーから生産を受託してきた。最近では、フォルクスワーゲン『ニュービートル』、アウディ『A4』、メルセデスベンツ『CLK』、クライスラー『セブリング』、ポンテアック『G6』などのオープンモデルの生産を担当。BMW『1シリーズ・カブリオレ』やベントレー『コンチネンタルGTC』のソフトトップも、両社に納入している。

またカルマン社は1955年、『カルマンギア』を発表。イタリアのカロッツェリア、ギア社がデザイン、カルマンがボディ、フォルクスワーゲンがエンジン&シャシーを開発し、空冷水平対向エンジンとRRレイアウトは、『ビートル』から流用だった。

カルマンギアは、美しい2ドアクーペフォルムと手ごろな価格で人気を集め、1955-1973年までの19年間に、累計約50万台を生産。このカルマンギアのヒットのおかげもあり、1949年から現在までのカルマン社の累計生産台数は、約330万台に到達している。

ところが最近のカルマン社は、規模拡大を目指した大型設備投資が裏目に出て、経営を圧迫。世界的な景気後退により、自動車メーカーからの受託生産台数が減少したのも、経営不振に拍車をかけた。

そして今年4月8日、カルマンはドイツの裁判所に破産手続きを申請し、経営破たん。6月22日には最終モデル、メルセデスベンツ『CLKカブリオレ』がラインオフして、同社の100年以上に及ぶ歴史に終止符が打たれた。

今回フォルクスワーゲンは、経営破たんしたカルマン社のオスナブリュック工場を買収するプランを公表。債権者との交渉がまとまれば、2011年から本格生産をスタートさせ、2014年までに1000人以上の雇用創出を見込む。

また、カルマンで働いていた約200名のスペシャリストを再雇用。2010年から、フォルクスワーゲングループの新プロジェクト車の開発に従事してもらう方針だ。

この新プロジェクト車の詳細は、現時点では不明。しかし関係者によると、フォルクスワーゲンが今年1月のデトロイトモーターショーに出品した『コンセプトブルースポーツ』の市販バージョンである可能性が高いという。

コンセプトブルースポーツは、2.0リットル直4ターボディーゼル「TDI」(180ps、35.7kgm)をミッドシップにレイアウト。6速DSGと1200kgを切る軽い重量の効果で、0-100km/h加速6.6秒、最高速226km/hの性能を発揮する。それでいて、欧州複合モード燃費23.3km/リットルという「エコロードスター」だ。

このコンセプトブルースポーツには、同じグループ会社のポルシェ版とアウディ版も存在するとの噂。ポルシェバージョンは、名車『356』の再来になると見られる。

オープンモデルや少量生産車の開発に関して、豊富なノウハウを持つカルマン社。フォルクスワーゲンがカルマンの持ち味を生かした新プロジェクトを目指しているのは、間違いないようだ。

《森脇稔》

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