燃費がいいだけじゃない! ダンロップ ENASAVE EC202の秘密

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ダンロップのENASAVEシリーズ
ダンロップのENASAVEシリーズ 全 14 枚 拡大写真

住友ゴム工業は、富士スピードウェイにて同社の低燃費タイヤ「ENASAVE EC202」の試走会を開催した。

ダンロップでは、2009年以前から、天然ゴム素材にシリカを配合したエコタイヤEC201をラインナップしている。その後、石油外の天然素材を75%まで高めたENASAVE97を2008年に発表し、翌2009年2月にはミニバン専用低燃費タイヤ「ENASAVE RV503」を、10月には対応車種を軽自動車からスタンダードタイプまで広げた「ENASAVE EC202」を発表している。試走会は、夏タイヤのシーズンを控え、EC202の低燃費性能や走行性能を体感してもらおうというものだ。

試走会は、住友ゴム工業 執行役員 タイヤ技術本部長 西実氏の挨拶とダンロップブランドにおける省エネタイヤや環境問題への取り組みについての総括から始まり、タイヤ技術本部 第一技術部 リプレイス担当部長 鈴木俊昭氏による技術説明が行われた。

■省燃費タイヤはグリップに劣る!?

まず、その内容からENASAVEがなぜ燃費がよいのか、燃費がいい分グリップなど走行性能はやはり通常タイヤより劣るのか、といったことを整理しよう。

タイヤが燃費に与える影響だが、重さと転がり抵抗係数(RRC)の2つが大きく関係している。重さについては、2トン近くもある自動車を支えるため、一定の強度や剛性が必要であり、ゴムタイヤの場合、軽量化による燃費向上は難しい。一般的に重さは、ばね下荷重の軽減ということでホイールの素材や構造、製法によって対応する部分だ。タイヤの場合、RRCが低ければ消費する燃料は少なくてすむ。空気圧が減っていると接地面積が増え、張りのない表面の摩擦係数が増して燃費が悪くなるように、タイヤの素材そのものの転がりやすさが高い(RRCが低い)ほど、加速がよくなり燃費も向上する。

鈴木氏の説明によれば、ENASAVEの場合、天然ゴムと結合させる合成ゴムにマルチ変性SBRを採用することで、無駄な分子の動きによる発熱を抑えることで、RRCを20%下げたという。しかし、RRCが低いほどグリップは悪くなりブレーキ性能にも影響がでてくる。ブレーキ性能や横グリップについては、マルチ変性SBRが、コーナリング時やブレーキング時には必要な発熱を促すように機能するそうだ。とくにウェット時のブレーキテストでは、旧モデルのEC201が61.9mの停止距離だったものがEC202では58.2mと、3m以上も短くなるという結果がでている。

EC202では、この省エネ性能をあらゆる車種に展開していくというコンセプトで、13インチから17インチまで全64サイズのタイヤがラインナップされている。70偏平などのタイヤにも対応するため、2層サイドウォールなどタイヤの剛性や乗り心地にも配慮されている。

つまり、EC202は、省エネという機能性タイヤでありながら、一般走行でのウェット性能やグリップ力、乗り心地は犠牲にしていないということだろう。

■エコタイヤでも十分なグリップ力

EC202の秘密はこれだけではなかった。性能とは直接関係ないが、タイヤのトレッドパターンのブロックがエコを象徴する葉っぱのような形になっているそうだ。また、サイドウォールには、やはりエコ・低燃費を主張する葉っぱのマークがデザインされている。そして、2010年1月よりスタートしている「タイヤラベリング制度」に対応し、日本自動車タイヤ協会(JATMA)の低燃費タイヤのグレード表示もされている。

ラベルは新品時のタイヤラベルといっしょに張り付けられるので、車に装着されたタイヤでは確認できないが、EC202は転がり抵抗の等級がA、ウェットグリップ性能の等級がCとなっている。等級の意味は転がり抵抗のAはRRCが9.0以下であることを示している(通常のタイヤはB以下になる)。ウェットグリップ性能のCは、基準タイヤに対する指数が125以上139以下という数値だ。

《中尾真二》

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