上位10社の順位は不変
中国が世界最大の自動車マーケットに躍り出た2009年のメーカー別新車販売ランキングをまとめてみた(一部筆者推計)。上位10社の順位に変動はなかったものの、先進諸国での需要不振を反映し、前年を上回ったのは2社にとどまった。こうしたなか、世界各地域で販売を伸ばした韓国・ヒュンダイ自動車(現代。傘下の起亜、キア自動車含む)の独走が際立った。
仏PSA(プジョー・シトロエン・グループ)の推計によると、大型トラックやバスを除く乗用車と小型商用車の2009年の世界市場は、前年比3.5%減の6250万台規模となった。仏ルノーもほぼ同程度のマーケットだったと推定している。
2009年は大市場である日米が大幅に減少する一方、各国政府によるインセンティブが効いた欧州はほぼ横ばい、中国やインドといった新興諸国が大幅に伸びるといったまだら模様になった。ただ、世界規模では需要刺激策によって落ち込みは小幅だったといえる。
自動車各社の公表値をもとにまとめた新車販売実績ランキングは、トヨタ自動車が2年連続で首位となるなど上位10社の順位は、2008年と同じ結果となった。政府管理下で再建中の米GM(ゼネラルモーターズ)は未公表のため、北米や中国、欧州などの販売実績をもとに筆者推計値としている。
◆インド好調で2%減と大健闘のスズキ
各社の販売実績は、自国マーケットの動向や大幅に伸びた中国など新興諸国での勢力を映している。6月に経営破たんしたGM、さらにフォードモーターの米国勢は北米市場の不振から2ケタ落ち込んだ。日本各社も自国市場の不振や北米への依存度が高いため、トヨタ、ホンダ、日産自動車は、いずれも1割前後のマイナスとなった。
日本市場ではホンダが『フィット』やハイブリッド車『インサイト』の好調で横ばいに踏みとどまったものの、トヨタは6%、日産は12%のマイナスだった。ただ、日産は中国で39%増と日本の大手3社ではもっとも高い伸びを確保、国内での不振を補った。
日産とルノーを合算した世界販売は567万台となり、連合ベースでのランクは前年と同じ4位だった。一方、インドの乗用車市場で約5割のシェアをもつスズキは、同国の販売増が日本などでの落ち込みを補い、世界販売は2%の小幅減にとどめている。
◆現代、2010年は4位浮上も
欧州勢では2009年末にスズキとの包括提携で合意した独VW(フォルクスワーゲン)が1%のプラス成長を確保し、3年連続で過去最高の販売実績をあげている。ランキングも2008年に前年の4位からフォードを抜いてランクアップした3位の座を維持した。VWは中国で37%、ブラジルでも9%の伸びを確保するなど新興市場での強さが目立つ。
VWを大きくしのぐペースで躍進したのが韓国・ヒュンダイ自動車だ。2008年も7%増の実績だったが、2009年は15%増と唯一2ケタ成長し、グループ販売台数は476万台となった。通貨ウォンが下落したこともあって価格競争力が一段と高まり、世界各地域で販売を伸ばした。
販売内訳はヒュンダイが12%増の311万台、キアが20%増の165万台。現代は2010年の世界販売目標を13%増の540万台としており、実現すればフォードを抜いて4位に浮上する可能性が高い。
2009年の世界新車販売ランキング
順位(前年):メーカー、販売台数(前年比増減率)
1(1):トヨタ 781万台(▲13%)
2(2):GM 650万台(▲22%)※
3(3):VW 629万台(1%)
4(4):フォード 482万台(▲11%)
5(5):ヒュンダイ 475万台(15%)
6(6):ホンダ 339万台(▲10%)
7(7):日産 336万台(▲9%)
8(8):PSA 319万台(▲2%)
9(9):ルノー 231万台(▲3%)
10(10):スズキ 231万台(▲2%)
各社の公表値(速報含む)から作成、▲はマイナス
※GMは未公表であり筆者推計値