16日、芝浦工業大学機械制御システム学科の古川修(ふるかわよしみ)教授は、個人の移動を支援するために開発したコンパクトモビリティを公開した。スケートボードに乗るようなスタイルのパーソナルモビリティとなっている。
公開されたコンパクトモビリティは、都市交通のスキマを埋めることを目的としていて公共交通機関に持ち込めるサイズとなっている。利用シーンは、通勤・通学などで自宅から最寄り駅まで乗車し、公共交通機関を降車後は再び乗車し会社・学校へ行くことを想定。現在、形状・サイズ・重量・速度・航続距離・航続時間など、市街地での実用に向けた開発を進めているという。
動作に関しては、平行2輪車の『セグウェイ』と同じような考えで動くようになっている。セグウェイとの違いは、乗員はスケートボードのようなスタイルで乗車することになり、動きのすべてを体重移動で入力するといったところ。
車体は、300×600×250mm(幅×長さ×高さ)とキャリーバッグサイズに仕上げられたマシンは、取っ手を引き出してキャリーバッグのように携行することができる。体重80kgまでの人に対応し、最高速度10km/h、連続走行時間1時間の性能を持つ。
その外観は、プロトタイプのため機械が丸出しの状態であるが、しかし、構成している部品をよく見ると、圧力を感知するセンサー、ラジコン用のバッテリーに、モーター、制御用基盤、と意外とシンプル。ゆくゆくは、部品をコンパクトにしスケートボードのようなカタチを完成形に描いているという。
操作方法は、乗員が重心を前後左右に移動させることで走行を制御する仕組み。まず乗員の重心位置を覚え込ませるためのスイッチを押してからスタートする、実際に試乗してみると体重移動によりスノーボードのような感覚で操作することができた。
このコンパクトモビリティのアイデアは、古川氏が本田技術研究所在籍時に携わった平行2輪車「不安立士(ファンタジー)バイク」を進化させたもの。その基本コンセプトはセグウェイに先駆けて実現したもので、その当時あったホンダのアイデアコンテストに出品しメカニカル大賞を受賞したという。
その特許は国内のみの申請だったため、古川氏は「米国で特許を取っていれば今頃左団扇だったかも……」とユーモアを含めながら悔しがる。
トヨタの1人乗り二輪車『ウィングレット』、ホンダは一輪車タイプの『U3-X』と、メーカーでも開発が進むパーソナルモビリティの分野。今回公開されたプロトタイプが完成形になると、そこにスケートボードタイプが加わることになる。