【BMW グランツーリスモ 試乗】時代に逆行しているようだが…萩原秀輝

試乗記 輸入車
5シリーズ グランツーリスモ
5シリーズ グランツーリスモ 全 5 枚 拡大写真

BMW『5シリーズ グランツーリスモ(GT)』は、セダン、ワゴン、クーペ、SUVの価値を巧みに兼ね備えた、まったく新しい発想のモデルといえる。それだけに、これまでにBMWがもたらした価値に共感しなかった人の気持ちを動かす可能性さえ備えている。

【画像全5枚】

逆に、その価値に共感してきた人にとって、グランツーリスモは見た目でいうと素直に受け入れにくいモデルといえそうだ。走りが楽しめそうなスポーティ・セダンという、BMWが伝統的に培ってきた印象が外観からは伝わってこないからだ。ボディ全高は1565mmとSUVに迫るほど高いだけに大柄な印象を与える。ミラー越しの後方視界が狭く、死角の少なさがBMWの特徴だったことを知っている人にとってはそれも違和感の原因になる。

だが、BMWにとってそうした評価は織り込み済みだったのだろう。視界については、モニターにカメラによる後方画像とソナーによる距離ガイドが表示し、サブ画面には俯瞰による車両周辺の画像も表示することで解決。ボディサイズは数値こそ大柄だが、日本市場の意向を反映させ全幅は1900mm以下とし、低速域で後輪を前輪に対して逆側に自動操舵させるインテグラル・アクティブ・ステアリングを標準装備。そのため、最小回転半径はミドルクラスなみの5.5mとなり市街地での取り回しは意外と容易だ。

しかも、走りはまさにBMWだ。ボディの大きさや重さを意識させることなく、山岳路をスポーティに駆けぬける楽しさが十分に確かめられる。モデルを問わず、想像とは異なり軽快が実感できる加速を示し、エンジンの吹き上がりも伸びやかだ。

さらに、車重が2000kgを超えるにもかかわらず、3リットルの直列6気筒エンジンを積み新開発の8速ATを組み合わせる535iで高速道路を走ると13km/リットル台の燃費を記録する。ダウンサイジングがトレンドになっている中にあって、大きく重いグランツーリスモは時代に逆行しているようにも思えるが、そうした社会的な課題に燃費の面(温暖化ガスの排出削減も含め)でも解決策を用意しているあたりは、効率的高性能化を目指すBMWならではだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

萩原秀輝|モータージャーナリスト、AJAJ理事
在学中よりレポーターとして活動。同時期からツーリングカー・レースに参戦。連続入賞や優勝の経験がある。そうした経験を生かし「クルマの走り」と「ドライビングの理論」について深い洞察力を持つ。自動車メーカーなど主催の安全運転教育インストラクターの経験も多数。とくに、日本に初めて実践型安全運転教育を導入した輸入車系のスクールでは、受講者が累計で1万人を越えた。

《萩原秀輝》

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