この奇抜なインスタレーションは、BMWとデンマークのテキスタイル・メーカー「クヴァドラ」とのコラボレーションによるものだ。タイトルは『The Dwelling Lab』(居住研究所)。
4月中旬、イタリア・ミラノの家具見本市で公開されたのに続き、4月25日にコモで開催された古典車コンクール「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」の一般公開日でも展示された。ベースはBMW5シリーズ『グランツーリスモ』である。
デザイン・ディレクターのエイドリアン・ファン・ホイドンク率いるBMWデザインチームが、スペインの建築家パトリチア・ウルキオーラ、イタリアのデザイナー・ジュリオ・リドルフォと共同で製作した。
クヴァドラ社は1968年創立。世界の著名建築家に好んで採用されており、すでにMoMA(ニューヨーク近代美術館)、ロサンゼルスのW. ディズニー・コンサートホールなどにも製品が使われている。
作品はコーン状の構造体を通じて、インテリアが外に向かって拡大しているかのような視覚的効果を狙っている。BMWがインサイド・アウト=内から外への発想でデザインしていることを表現したものだ。ただし、デザイン上のパフォーマンスにとどまらず、テキスタイルを自動車のインテリアにどのような形で用いることができるかのスタディも兼ねている。
なお、BMWは、この作品を「史上で初めて、外観を見るより先に、内部を見る車」と解説している。欧州の自動車メーカーのなかでも近年とくにクールなソリッド感を際立せてきたBMWデザインが、研究とはいえ、こうした“ゆるさ”“和み”ともいえるキャラクターも模索していることは注目に値する。