【人とくるまのテクノロジー10】フリクションロス低減はエンジンの最重要課題

自動車 ビジネス 企業動向
クランクベアリングに関する取材数社
クランクベアリングに関する取材数社 全 3 枚 拡大写真

クルマの燃費向上を図るには、エンジンや駆動系のフリクションロス低減は重要課題。ところがアイドリングストップやハイブリッド化によって、さらにエンジンは厳しい環境へと追い込まれているのである。

【画像全3枚】

そんなことを教えられたのが、人とくるまのテクノロジー展での、クランクベアリングやEGRバルブ、メタルガスケットなどのメーカー、大豊工業のブース。

クランクシャフトの支持やコンロッドの大端部にはメタルベアリングが組み込まれている。エンジン運転中はここにエンジンオイルを圧送することでオイルの膜を作って流体潤滑させるフローティング構造となっている。しかし、最近のエンジンオイルの低粘度化による潤滑性能の低下に加え、エンジンスタート時のメタルとクランクが接触した状態が多くなるアイドリングストップでは、メタル自体の潤滑性能が追求されるそうだ。

そのため大豊工業では、アルミ合金性のメタル表面に微細な溝を刻むことでオイルの保持性を高める工夫を施したマイクログルーブベアリングや、潤滑油量や油圧ロスも減らした偏心溝エンジンベアリングなど、構造を工夫した商品を開発している。

極め付けはメタル表面に二硫化モリブデンをコーティングした固体潤滑コーティング。ピストンスカートなどに施されているコーティングをベアリングにも採用したもので、従来のコーティング無しと比べるとクランクとの接触時のフリクションは約80%も低減できるそうだ。

これはすでにハイブリッド車や高級車のV型エンジンなどに採用されて、エンジンの低燃費化に貢献しているという。

同じようにクランクベアリングの潤滑性能を高める工夫を、ボールベアリング大手のNTNでも見つけた。これはクランクやコンロッドのベアリングにメタル(滑り軸受け)ではなく、ボールベアリング(転がり軸受け)を使うというもの。実際には薄く幅広い軸受けにできるニードルローラーベアリングを使うのだが、これによりメタルベアリングと比べ起動トルクは90%、回転トルクは50%も低減できるそうだ。すでに船外機のエンジンでは実用化されているそうだが、乗用車のエンジンに用いれば理論上は3%の燃費向上に貢献出来るという。

ピストンやカムシャフトと比べ、クランクベアリングはさらに地味な存在だが、日本の技術力はこんなところにも発揮されているのだった。

《高根英幸》

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ『ハリアー』次期型はプレミアムSUVに進化!? RAV4、クラウンとの差別化どうなる?
  2. 次期スズキ『ソリオ』は“走り”で逆襲! 新世代HEV採用で2027年以降登場か?
  3. 【トヨタ RAV4 新型試乗】約270kmのドライブで気になったのは「わずか1点のみ」だった
  4. 【プジョー 308SW GTハイブリッド 新型試乗】“新顔”になってスッキリ、ワゴンながら走りの良さに感心…島崎七生人
  5. 斬新すぎるホンダの電動二輪『EV アウトライヤー・コンセプト』が世界的デザイン賞に
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 自動運転開発の分野で高まるNVIDIAとAWSの存在感、日本メーカーは中国のスピード感に対抗できるのか【AWS オートモーティブ AI イノベーション フォーラム】
  2. 電動車は誰が最後まで面倒を見るのか…KPMGコンサルティング プリンシパル 轟木光 氏[インタビュー]
  3. 日立エナジー、空飛ぶクルマ向け電力インフラ整備へ…Eve Air Mobilityと覚書締結
  4. ブリヂストンとNXタイロジスティクス、使用済みタイヤの資源循環などで覚書締結
  5. 「発想が素晴らしい」ヤマハが開発した保育現場向け「電動アシストお散歩カー」が話題に、「補助金回して」の声も
ランキングをもっと見る