新日本製鐵は28日、原油タンカー用高耐食性厚鋼板「NSGP-1」の累計出荷量が1万tを突破したと発表した。
この鋼材は、油漏れなどの重大事故につながるおそれのある原油タンカーの貨物タンク底面の腐食を防ぐため、新日鉄が日本郵船と共同開発したもので、従来の鋼板に比べ約5倍の耐食性を持つ。
腐食防止のための塗装も省けることから、船舶の安全性を高めるとともに、環境にも対応した鋼板。少量の合金を最適に組み合わせることで高い耐食性を実現、鋼材コストは建造時の塗装費用と同等かそれ以下で、その後の補修塗装も不要。また、溶接や加工を従来の鋼材と同様に施すことが可能。
新日鉄は日本郵船と協力して2004年から大型タンカーへの実船適用試験を実施。その性能を確認した後、2007年から本格受注を開始した。これまでに大型タンカー6隻分を製造した。
同社では、海洋環境保護のためにもこの鋼板を幅広く売り込んでいく方針だ。