【ケータイナビガイド '10】「究極の目標は“ナイトライダー”」…iPhone版いつもNAVI 開発者インタビュー

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横画面では高速道路走行時、左側に通過IC/ジャンクション/SA/PAが表示される
横画面では高速道路走行時、左側に通過IC/ジャンクション/SA/PAが表示される 全 12 枚 拡大写真

iPhone版地図・ナビアプリの先駆け的として根強い人気を得ているiPhone版「いつもNAVI」。シンプルなUI・機能ながら、ゼンリンならではのきめ細やかで見やすい地図を武器に、利用者を増やしてきた。今回、制作部のグローバルビジネス担当マネージャーとして、iPhone版「いつもNAVI」の企画を担当している伏見洋志氏に話を聞く。

◆iPhoneを見た瞬間に「ナビ端末として使いたい」と思った

----:iPhone版「いつもNAVI」は、リアルタイムナビゲーションが解禁になる前からルート探索サービスを提供していました。国内のiPhoneアプリとしては先行でしたが、リアルタイムナビゲーション解禁後も堅調な人気を保っていますね。

伏見:おかげさまでAppStoreでの売れ行きは想像以上に好感触でした。アプリのリリースと前後してiPhone本体の販売価格が下がったり、パケット代キャンペーンがスタートしたタイミングでしたので、iPhoneの売れ行きに引っ張られたカタチです。その後も着実に伸びていますので、お客様には一定の評価をいただけたのかな、という印象です。

----:伏見さんはiPhone版アプリの企画スタート時から携わられたとのことですが、開発のきっかけは。

伏見:iPhoneのGSM版が登場した際に海外から購入して手に取ってときに思ったのは、まず“カーナビのサイズだね”ということでした。3.5インチといえば小型PNDと同サイズです。これを見た瞬間に、「通信型カーナビをやりたい」とまず考えましたね。それからアップル好きの社員も周囲にいましたので、彼らに引っ張られながらも頑張ってきました。

◆シンプルでもリッチに

----:開発にあたってのコンセプトは。

伏見:iPhone標準のUIになるべく沿ったものしようと心がけました。ケータイ版の「いつもNAVI」は多機能志向ですが、iPhoneはシンプルなステップで直感的にナビゲーションができるよう、メニューや画面遷移を定めていきました。iPhoneはグラフィック性能が高いので、シンプルさの中にリニアな操作感を追求しています。

----:シンプルとはいっても、ルートガイドは方面看板や交差点拡大イラスト、交差点の読み上げなどケータイ版並にリッチですね。

伏見:まだ、iPhone OSがバージョン2だった時に「いつもNAVI Lite」を出した段階で、大勢のお客様にご評価いただけました。09年の6月でOS3.0が発表され、8月に配布がスタートしたのですが、この2ヶ月間で準備をおこない、音声案内や方面看板も出せるリアルタイムナビゲーション対応の「いつもNAVI(バージョン2.0)」をリリースしました。このリリースで僕らとしては、いままでできなかったものを世に出せるということは嬉しかったですね。

◆電波の届かない所でも使える

----:Lite版はリアルタイムナビ対応版登場後もそのまま残しました。

伏見:Lite版のユーザーが多かったことと、カーナビとしてそれほどヘビーに使わないから今までの価格でいいという声があったためです。Lite版のユーザーでもアドオンとしてアプリ内決済できる「ナビパック」を月別にご購入いただければリアルタイムナビゲーションも利用できます。

----:Windows Phone向けいつもNAVIでは、検索や地図のデータをローカルに収録しました。iPhoneアプリでも、ローカル収録型もあります。一方で、iPhone版いつもNAVIではサーバ・クライアント方式を採用しましたね。

伏見:当初は、すでに実績のあったケータイのリソースを活用してサービスを展開したいという考えがありました。当社は“リアルタイムの情報配信”が社訓としてあります。鮮度の高い情報を提供する、というのが基本方針なのです。ですが、電波の通じない場所で使えない不安もあるでしょうから、ルート上の周辺地図データをiPhone内にキャッシュする機能もあります。ローカルの良さ、クラウドの良さ両方を活かすようなサービスも考えています。

----:OS 4.0の登場が予告され、次期型iPhoneの噂もちらほら入ってきていますが、今後の機能アップのアイディアは練られているのですか。

伏見:OS 4.0のマルチタスク対応によって、いつもNAVIで何ができるかをいま検討しているところです。とくにドライブが楽しくなるような仕組みが入れられたら、と考えていますが、iPhoneのシンプルで洗練されたUIを複雑なものにしたくない、という思いはあります。

◆やりたいことは山ほどある

----:ナビゲーションのプラットフォームとしてのiPhoneは魅力ですか。

伏見:アップルはハードウェアの仕様やSDK(ソフトウェア開発キット)に統一性があって、アプリを開発しやすい環境にあります。また、生まれて間もないプラットフォームということで、スタート地点は誰もが一緒。私のように企画やっている人間としては、非常に魅力的なプラットフォームですね。アプリが世に出て使っていただいているというよろこびを実感しています。

----:iPhoneのナビアプリはまだ伸びしろのあるマーケットですね。

伏見:ええ。iPhone版「いつもNAVI」でやりたいことは山ほどあります。究極の目標は、“ナイトライダーをつくること”。クルマが対話相手になってナビゲートしてくれるなんて、一昔前はSFみたいなものでした。でも今のスマートフォンなら、それに近いものがリアルタイム情報配信で可能になります。たとえば、位置情報からその場のリアルタイムな情報やイベントを告知するとか、ユーザー1人1人の利用用途にマッチした情報を届ける、みたいな。当社でも「サツキ」という対話型のナビゲーションを開発しましたが、それがiPhoneのような携帯端末で実現する日は来ると思います。

【アプリ概要】

■利用料
いつもNAVI 年間利用料:2800円
いつもNAVI Lite 利用料:1800円
※Lite版は音声案内やガイダンス機能が省略される。月額350円の「ナビパック」として音声案内やリアルタイムナビゲーションなど「いつもNAVI」と同等の機能が利用できるオプションが用意されている。

■アクセス
App Store>ナビゲーション>いつもNAVI/いつもNAVI Lite

■公式サイト
ゼンリンデータコム iPhone用いつもNAVI
http://www.zenrin-datacom.net/iphone/index.html

《北島友和》

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