のびやかなデザインがうまいプジョーだが、クルマの名前が三桁から四桁になると、コンパクトにみえるよう、まとめてくるようだ。全幅は1835mmあるというのに、実際に対向車線から向かってくるクルマを見ると、きゅっと小粒なクルマに見える。
とはいうものの、いざ乗り込んでみるとヒップポイントがぐっと高い。ゆえにアイポイントも高いので視界はいいわ、優越感だわでまんざらでもない。でも、こんなにヒップポイントが高くて、コーナリング時のロールは大丈夫なのかと思いきや、しっとりとした落ち着きのよさといったら。
特に、ハンドルの切り始め。狙ったラインのほうにすっとハンドルをあてると、遅れることなく頭が向きを変えていく。その素直で無駄のない動きは、背の高いクルマとは思えないキレのよさ。実は『3008』の試乗前に、6ATが搭載されたハッチバックの『308』に乗ったのだが、背の低いはずの308のほうがよほどやんちゃで、チカラづくでコーナリング進入、という印象に思えてしまう。3008。へえ。ちょっとおでぶな、ぽよぽよしたクルマだと思っていた。でも、ほんとは運動神経いいんだね。
ガラスルーフは大きくて車内は明るいし、後部座席はスイッチひとつで簡単に背もたれが倒れて、ラゲッジスペースが超広く使えるし、ラゲッジドアも上下に開いて使い勝手がいいし。使えるし、走れるし、これ、プジョー車のなかで、一番、いいかもしれません。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省安全基準検討会検討員他、委員を兼任。