「タルボ」ブランド復活か? プジョーシトロエンの低価格ライン

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1938年タルボ-ラーゴT150SSティアドロップ・クーペ。2010年ヴィラ・デステ・コンクールで
1938年タルボ-ラーゴT150SSティアドロップ・クーペ。2010年ヴィラ・デステ・コンクールで 全 5 枚 拡大写真

24年前に市場から消滅した「タルボ」ブランドが復活か?---スペインの日刊紙がこのほど伝えたもので、商標を所有しているPSAプジョーシトロエンが、低価格ブランドに、タルボの名称を2014年から使用する可能性が高いという。ルノーにおける低価格車「ダチア」に相当する位置づけだ。

タルボの歴史は複雑である。同社は1903年、アドルフ・クレモンとチャールズ・タルボット卿によってロンドンに設立された会社に遡る。当初はフランス車の輸入を手がけていたが、後年自らの車を製造するようになった。

やがてフランスのダラックや英国のサンビームといったブランドを買収し、同社は英仏をまたぐ企業として成長した。30年代に入って世界恐慌の煽りで経営が悪化したことから、34年からは企業家アントニー・ラーゴの援助を得た。ラーゴのもとでは高性能スポーツ志向を強め、タルボ-ラーゴとして黄金時代を築いた。

戦後は自動車大衆化の波に勝てず、1959年には乗用車メーカー・シムカの傘下に入ったのをきっかけに、しばらくしてタルボ・ブランドは消える。やがてシムカは1960年代に段階的にクライスラーの支配下に入り、そのクライスラーも1978年に旧シムカのヨーロッパ・オペレーションをPSAプジョーシトロエンに売却した。

プジョーシトロエンはクライスラーから引き継いだモデルを販売するにあたり、タルボの商標を使用することにした。ハッチバック車、タルボ『ホライズン』をベースにしたオープンカー、タルボ『サンバ』など一部車種は話題を呼んだ。だが全体的には当初予想に及ばず、プジョーシトロエンは1978年にタルボ・ブランドを廃止。欧州各国にあったディーラーはプジョー販売店などに転換された。

冒頭あるように今回の予想を報じたのは、スペインのメディアだ。その背景には、タルボが復活した場合、プジョーシトロエンが生産工場としてスペインの生産拠点を選択する可能性があることもある。

失業率が依然高いスペインゆえ、今回のニュースには、一ブランドの復活だけでなく、雇用創出への強い期待が窺える。

《大矢アキオ Akio Lorenzo OYA》

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