日産自動車は28日、追突事故の回避を支援する新技術「衝突回避支援コンセプト」を発表した。走行中に前車との距離をレーダーで認識し、ドライバーの操作が間に合わない場合は、60km/hという高い速度域から自動ブレーキを作動させ衝突を回避することが可能だ。
衝突回避支援コンセプトでは、前方の車両を早期に発見し、ドライバーによる減速操作が必要だと車両側が判断すると、まず表示と警告音で危険を知らせ、アクセルペダルを押し戻し緩やかに減速させる。これによりドライバー自身がより安全な回避操作を行えるよう支援する。
さらに、衝突の危険性があると判断すると、自動的に急ブレーキが作動する。急ブレーキと同時に前席のシートベルトを巻き上げ、たるみを減少させる事で乗員の拘束性も高める。このシステムは相対速度60km/h以下であれば衝突を回避することができる、という点が最大のポイントだろう。
追突を回避する自動ブレーキシステムは、既にボルボが「シティセーフティ」、スバルが「アイサイト」として市販車に採用している。どちらも「追突事故の多くは低速走行時に発生する」として30km/hからの衝突回避または軽減を実現している。これに対し日産の衝突回避支援コンセプトでは、より高い速度域からの衝突回避をめざし開発が進められていることが特徴だ。
同システムの採用車種や、時期については現段階では未定。日産は、先進安全システムの認知を図る事で、安全に対する意識向上、需要喚起をうながす。
日産では「ビジョン2015」として、2015年までに1995年比で日産車が関わる死亡事故・重傷者数を半減させる目標を掲げ安全技術開発を行っている。独自の分析から事故の大半は「認知の誤り」が原因であることに着目、あくまで運転の主体はクルマではなくドライバーであるという視点から、ドライバーの運転をサポートするクルマづくりを行い、死亡・重傷者数の実質ゼロを目指す。