エコタイヤとオリジナルのコラボホイール展開に注力し、購入動機を刺激

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タイヤ・ホイール専門店としてこだわりを持つフジ・コーポレーションの大宮店は、さいたま市北区、国道17号線ぞいに立地する。専門店ながら軽自動車から海外メーカーの大型SUVまで幅広い車種に対応する品ぞろえを誇る店舗だ。この大宮店の特徴などについて話を伺った。

◆ファミリー層にも人気の大宮店

同店のマネージャである三枝結美氏は他店舗を含め、タイヤ業界ではすでに10年以上のキャリアがあるという。その前も自動車メーカーでメカニックをやっていたそうで、車に関しては豊富な知識と実績を持つプロフェッショナルだ。三枝氏は同店の特徴について聞いてみたところ、「ベットタウンという地域柄でしょうか。タイヤ・ホイールの専門店という位置づけのショップですが、顧客層の幅の広さがひとつの特徴となっています」と語る。

フジ・コーポレーションのような専門店だと、国産高級車や輸入車オーナーなどがメインターゲットのことが多いのだが、大宮店では軽自動車のオーナーやミニバンなどのファミリー層の顧客も多いという。豊富な商品ラインナップとともに価格面での商品力から、純正タイヤのリプレイス目的で利用する人が多いことが理由のようだ。

変わったところでは、大宮店ではハイエースなどの業務用のバン・ワゴンのユーザーが多いのも特徴だそうだ。自営業、工務店、商店、中小企業などの業務車両のドレスアップが密かなブームになっていることも、こうした需要を押し上げていると三枝氏は予測する。

◆売れ筋は限定オリジナルホイールとのセット

顧客層の幅が広いということになると、売れ筋のタイヤはどのようなものになるのだろうか。この点について三枝氏は、「最近、急激に市場を伸ばしていると感じるのは、エコタイヤです。ころがり抵抗やウェット性能の表示基準が明確になり、国内主要メーカーのエコタイヤラインナップが充実したこともあり、ユーザーにとっても買いやすくなっているようです」と、最近の傾向を語ってくれた。

エコタイヤの人気は、安全・運動性能やデザイン、価格といったこれまでのタイヤの選定ポイントに環境性能、ガソリン節約などの項目が確立されてきたということだろう。三枝氏がいうように、多少犠牲になるウェット性能も、基準を明確にすることでかえってユーザーの安心感を生んでいるともいえる。三枝氏は、この流れは当分続きそうだとしながら、ハイブリッドやEVを意識した軽量ホイールや機能性タイヤの動きにも注目しているという。大宮店ではヨコハマ「Earth-1」やダンロップが「ENASAVE」の売れ行きが特に良好のこと。

また他のフジ・コーポレーションの店舗と同様、入り口付近には“タイヤの触り比べ”ができるコーナーも設置。幅広い銘柄の同寸タイヤを揃えて、ゴムの感触や重さ、トレッドパターンといった細部まで確認できる。もちろん、展示品以外のタイヤサイズも揃えているので、気に入ったタイヤがあればその場で購入して愛車に即装着、ということも可能だ。圧倒的な在庫量を持つ同店ならではの特徴といえるだろう。

また、ホイールメーカーとのコラボ商品も強力にプッシュしている。これは、ホイールメーカーと共同で、オリジナルカラー/デザインのホイールを開発した、フジ・コーポレーション限定モデルだ。またホイールのデザインは同じでも、通常には設定のない色展開で、ユーザーは自分の車の色にあったデザインのホイールを選べるというわけだ。このオリジナルホイールは、レイズやWORK、SPORT TECHNIC、レアマイスターなど、豊富に用意され、特定店舗だけでなくフジ・コーポレーション全店で取り扱い可能となっている。

◆買い換えサイクルが長くなっているのでアフターケアも注力

以上のような売れ筋商品を幅広い層にアピールするためには、店舗の技術力も重要となる。そこは長年タイヤ・ホイールの専門店として展開してきた実績とノウハウがものいう。大宮店でも、他店同様にマネージャを含むスタッフ全員がタイヤ交換などのピット作業をこなす。

外車でのマッチングや車検対応(タイヤハウスのはみ出し、足回りやブレーキなどとの干渉、ロードインデックス、運動性能への影響など)のノウハウも充実しており、なにより全店の情報が共有されるようになっているのも強みだそうだ。外車の新型がでた直後でも、過去のデータや全店の最新作業情報などから、適応セットに対する混乱を最小限に抑えることができる。

最後に店舗の販売戦略について聞いた。全体としては、景気の低迷の影響は避けられないといい、専門店といえども顧客のすそ野を広げることがひとつの課題となっている。大宮店のみならずフジ・コーポレションの各店では、インターネットや車雑誌の広告以外にも、新聞などのチラシ広告にも力をいれている。これは、ある程度車に興味のある層は、雑誌の広告やウェブサイトでの認知はいきわたっているが、それ以外の層への認知やアピールのためチラシによって、車はディーラーまかせといった層や主婦層などへの訴求を強化したい考えだ。

三枝氏は、「新車を5年や7年と乗る人が増えているので、単に高性能なタイヤを売るだけだと、純正足回りやその他とのバランスが悪くなることがあります。単に大口径で高性能タイヤを売るだけでなく、そのようなアドバイスをしながら、ユーザーに会ったタイヤを提供するようにしています」と、元メカニックらしい言葉で最後をまとめてくれた。

《中尾真二》

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