●エンドレス Ewig N84M(ブレーキパッド)
アイドラーズ12時間+9分間耐久レースは、早朝7時に全車がローリングスタートして19時すぎにフィニッシュを迎えるイベントだ。7月18日当日は、気温35度以上、路面温度は60度を超える時間帯もあった。
それより何より会場となるツインリンクもてぎは、日本一ブレーキに厳しいサーキットとして知られている。ツインリンクもてぎ(フルコース一周=4.8km)の特性がハードブレーキングを頻繁に強いる反面、温度の上がったブレーキがなかなか冷えてくれないサーキットレイアウトだからだという。これはフォーミュラニッポンでもSUPER GTでも理屈らしいから、市販車をベースに改造したレースカーだとさらにその厳しさは増すのではないだろうか。
フィアット江戸川/アルファロメオ江戸川の社長でありAIOCのサポートを行っている染谷社長は、ことさらブレーキの重要性を強調した。「アルファロメオを使ってホビーレースを戦いたいユーザーが集まっているわけです。われわれが彼らの活動をサポートするうえで最も注意を払っているのは、安全性以外にありません。とくにツインリンクもてぎでは耐久性を含めたブレーキ性能が非常に重要で、その部分が速さにも安全性にも直結するため、ブレーキチューニングのパーツ選定はもっとも重要視しました」。
数あるブレーキメーカーのなかでチョイスされたのがエンドレス。同社は言わずと知れたジャパンオリジナルのブレーキ専業メーカーである。「Ewig」はエンドレスのラインナップにおける輸入車向けのブランドで、さらに10種類近くの設定(摩材を含む製法等の違いにより推奨するシチュエーションやローター適性温度などが異なる)がなされている。
AIOC145が選んだのは「N84M」と呼ばれる耐久レース用パッドだった。実際にニュルブルクリンクやスパフランコルシャンの24時間耐久レース等で実績を挙げているレース用パッドということだが、ローター適性温度が300度からという設定なので駐車場から出てすぐはノーブレーキ状態で大変なことになるだろうから注意が必要だ。
さてエンドレス Ewig N84Mの評価に関しては、実際に耐久レースで走ったAIOC145のドライバーたちの声を聞くのがいちばんではないだろうか。プロドライバーの評価も大事なのだろうが、使うのはあくまでもアマチュアドライバーの彼らだ。「あの暑さのなかで長時間不安無く乗れました。コントロールもしやすかった」K氏談。「ブレーキタッチ、制動力ともに過去最高のフィーリング。担当スティント内でも全くフィーリングの変化がなかったのに驚きました」O氏談。「私はドライバー12名中8番目に乗車したにもかかわらず、制動力にまったく不安を感じませんでした」I氏談。「安心感はこの上ない感じ。ブレーキに関して不安な要素は微塵もなかった」M氏談。「今回のAIOC145が持っていた最大の武器だったと思います。ブレーキングで何台パスしたか覚えていないくらい素晴らしいブレーキ性能でした」N氏談。
アマチュアドライバーでも使いこなせて、さらに抜群の制動力と安心感をもつブレーキパッドはそうそう多くはないという。ジャパンオリジナルパーツへの誇りすら感じるところだ。