ただの実用車ながら、決して退屈なクルマにしないところがシトロエンの魅力。新型『C3』ももちろんそうで「ゼニスフロントウインド」と呼ぶ見上げ角108度の広大なガラスは、やはり楽しげ。
頭上部分は素通しではなくボカシが入り、直射日光は微妙に緩和されるし、サンバイザーが一体のシェードを引き出せば、普通のルーフに。雨音も気にならない。『C4』の流れをくむアーチ型キャビンをもつスタイルも、2ボックスながら個性をアピールする。
室内は樹脂部品の質感、スイッチ類の操作感に進化を実感。室内スペースは前後とも必要にして十分。そしてヒタッ!とコクとストロークのある乗り味はシトロエンならでは。上級のC4に迫る穏やかな乗り心地なのが嬉しい。70km/h前後以上でのフラットライドも見事だ。シートもクッションがフカッとやわらかな仕上がり。
1.6リットル(120ps/16.3kgm)エンジン+4速ATの走りもチューンが洗練され、キレのいい加減速が味わえる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年より『GOLD CARトップ・ニューカー速報』の取材/執筆を皮切りにフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。