[大人の夏休み]レーサーになる…未知の戦い、残り8分に事件!

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フィニッシュに向けて快走を続けたAIOC145。速いだけでもダメ、タフなだけでもダメ、乗り手を選ぶ難しいクルマでもダメ。耐久レース用のマシンづくりは難しい
フィニッシュに向けて快走を続けたAIOC145。速いだけでもダメ、タフなだけでもダメ、乗り手を選ぶ難しいクルマでもダメ。耐久レース用のマシンづくりは難しい 全 4 枚 拡大写真

2010年のアイドラーズ12時間+9分耐久レース(7月18日)は、午後4時06分に発生したクラッシュによって約1時間30分ほどもレースが中断した。コース上の車両撤去と安全確認は素早く行われたのだが、主催者は安全を優先させるために赤旗中断とした。

[記念写真では複雑な表情で写るメンバーの顔も]

しかし、この8時間終了時点でコース上に残っていた約80台ものクルマが一斉にピットに戻り、それを暫定順位通りにピットロード出口付近に再整列させるのに、大幅な時間がかかってしまったのだ。ともかく17時38分にレースはローリングスタートで再開される。

「AIOC145」は、この赤旗中断中に、レースコントロールの判断として許可された給油とドライバー交代を終えた。ドライバーはI氏からM氏に交代されていたが、1時間以上も猛烈に熱いレースカーの車内でピットロード待機を命じられたのは不憫であった。

M氏は25位から18位にポジションアップをした際に再びセーフティカーが介入し、この機にピットインを命じてドライバー交代を実施した。同じイニシャルの別のM氏が10走目を担当し35位から16位まで順位を上げた。いよいよライトオンの指示が出され、耐久レースは闇夜のエンディングを迎えようとしていた。

「19時30分頃に最後のドライバーがピットアウトした瞬間、ウルッときました」と語ってくれたのはO氏だ。耐久レースとはまさにタスキリレーであり、チームの全員が精一杯の力で協力し合いながら数々の困難を乗り越える、まるで小さな人生模様のようだった。

AIOC145は12名のドライバー交代を予定していたが、赤旗中断後にチーム監督は11名で走りきる事を決断した。アンカーを務めたN氏はそのプレッシャーについて語る。「約3年振りのレースだったし、マニュアル車も久しぶりだったので、自分がどのくらい走れるのか、自分自身が一番信用できなかったんです。チームの全員でここまで運んできたAIOC145をひとつでも良いポジションに引き上げてフィニッシュさせたかったのですが……」。

最終スティントに挑んだAIOC145はフィニッシュ間際までの間に快走を続けた。ピットウォールテントのモニターに映る順位が一時クラストップにまで浮上した瞬間は、まさにチーム全員で歓喜の大騒ぎとなった。ところが197周目に入ったAIOC145が再び照明に照らされたピット前を通過することはなかった。

S字コーナーの先にあるV字コーナーで車両がストップしてしまったのである。原因はエンジンに突然発生したセンサー不良であったようだ。ちょうど12時間を経過して残り8分という時間帯に突然エンジンがストールしてしまったのだ。

総周回数196周、総合27位、クラス3位。アルファロメオ車のなかで4位という成績は、夏のアイドラーズ耐久レースに初参加したチームとしては上出来だったのではないだろうか。

しかし、「フィアット江戸川/アルファロメオ江戸川」の染谷社長はどうもこの結果に満足している様子ではなかった。「今回はやり残した感の多い1日になりましたが、来年もできれば同じメンバーで参加して、そして優勝を目指したい。ホビーレースでもモータースポーツです! 勝つ事はもちろん簡単じゃありません。それでも勝つために必要なことを追及し続けていけるようなメンバーでありたいし、そうであって欲しいと願っています」

モータースポーツは筋書きのないドラマであることが今回の密着取材によって再確認できた。このようなドラマチックな世界に仲間を集めてクルマをつくることで参加できるというのは、毎日の多忙な日常に追われている者からすれば驚きの体験であった。

大人の夏休みというテーマで「フィアット江戸川/アルファロメオ江戸川」のAIOCに密着取材したわけだが、ひとつのチームでこれだけのドラマがあったのだ。他の102チームにも悲喜こもごもの12時間のドラマがあったと想像すると、夏のアイドラーズ12時間耐久レースはまさに大人の真夏の甲子園に思えてくる。年齢もメイクスも関係ない。真剣に遊んでいる大人たちの横顔は、羨ましくなるほど幸せに見えた。彼らはきっと来年もツインリンクもてぎに戻ってくるのだろう。

当企画への協力に際して、エンドロールとしてAIOCレーシングチームの参加者コメントを紹介します。心よりAIOCレーシングチームの皆様のご協力に対してこの場を借りて感謝致します。

「今回の体験によって、よりメンバーを身近に感じました。戦友という表現がピッタリかも」O氏。
「次があるなら、もちろん総合優勝でしょ。結果は大事!」K氏。
「50分間の自分の走行を終えてピットに戻ったとき『お疲れ様!」と迎えられ、不覚にも感動してしまいました。安堵感と相まってなんとも言い表せない気持ちになりました」I氏。
「あえて感謝したい人を挙げるなら、私を笑顔で送り出してくれた嫁さんかな」M氏。
「完走すること、とっさのときのメンバーの意思の疎通。これが難しかった」M会長。
「影でコソコソと不安要素は改善していたので『走りきって当然』と思っていましたが、想像以上に暑かった。次もありますよ(笑)」S社長。

……最近、泣いたことありますか?

アルファロメオ江戸川
supported by フィアット/アルファロメオ江戸川

《編集部》

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